我が社のトレーラーが高速道路のパーキングで駐車ブレーキが解除出来なくなり、動けなくなりました。
どうやら、バルブ関係の凍結が疑われます。
単車(トラック)も最近はブレーキ関係もフルエアーになりましたが、トレーラーは昔から、エアーでブレーキを制御しています。
以前に「トラックのサイドブレーキ緊急解除法」の記事を書かせてもらいましたが、今日はトレーラーのバルブの凍結などで起こるトラブルや、緊急(応急)時における解除方法を話したいと思います。
凍結した駐車ブレーキの解除方法
一般的に冬季のトレーラー側のブレーキ関係が凍結による多くのトラブルは、リレーエマジェンシーバルブが原因で起こりますが、
で、今回はトレーラー側のトラブルと言うことで進めていきます。
解除方法としては、リレーエマジェンシーバルブが凍りついたのでこれを暖めてやればOKです。
これは、トレックス製のウイング車の画像ですが、
これは、比較的新しいタイプになりますが、横から見て、アウトリガー付近のシャシーの裏側にリレーエマジェンシーバルブがあります。
拡大すると、こんな感じです。
※海コンシャシーはタイヤ側のエアータンクに付いています。
赤丸で囲んだ部分、(リレーエマジェンシーバルブ)を暖めれば良いです。
その前に、作業に掛かる前に注意することがあります。
暖める方法としては、
- お湯をかける
- ヒートガンなどで暖める
- 暖めた布で覆う
がありますが、湯をかけるはもし、手元にお湯が無ければ、自販機でお茶(HOT)を買ってきても良いです。
そして、上の丸い部分(ピストン部)から掛けて下さい。
その次のヒートガンで暖めるは、そんな物ある訳無い!って叱られそうですが、確かに修理屋さんが持っているヒートガンは無いにしろ、ヘヤードライヤーと言った手もありますが、そもそも電源が無ければダメです。
これは、「こう言うのも有るよ」ってことですが、アウトドアやDIYで使うガスバーナーで暖める手段もありますが、火力が強いのでホース類や配線が解ける危険性もあるので細心の注意が必要です。
もし、エアーホースが溶けたりしたら、そちらの方が問題となりますので、自己責任でお願いします。
また、熱い湯で温めたタオルでリレーエマジェンシーバルブを覆っても良いです。要は、バルブ自体が暖まれば良いわけですから。
リレーエマジェンシーバルブ凍りついたことによる事例
解除ができたら一時的な処置となりますのでサービス工場などでの点検整備をお願いします。
これ、大事です。
これからは、本当に起きたことなので是非、読んで下さい。
数年前の朝、協力会社のトレーラーのドライバーから電話が入り、「信号で止まろうとしたがブレーキが効かない!」との一報でした。
現場に行って、よくよく聞くとトラクターヘットのブレーキみで止ったそうです。空車状態だったので難は避けれましたが、実車だったら大惨事も考えられます。
このドライバーはトレーラーに乗り始めて半年ほどで低温時にスモールランプを点灯して走ることを知らずにいたようです。
どう言うことか、
もう一度、上の大きい画像を見て下さい。
そこにヒーターって書いてありますが、低温になるとヒーター(トーカス)が作動してこのリレーエマジェンシーバルブを暖めます。
その電源はテールランプ系から取っているのでスモールランプ点灯で通常ならほぼ凍結する心配がありませんが、ヒーターがが作動しなければ話は別です。
リレーエマジェンシーバルブが凍結すると駐車ブレーキが解除出来ないどころか、走行中に起きるとブレーキが利かない現象も起こりえると言うことです。
そちらのほうが恐ろしいことですね。
また、逆に、ブレーキを掛けた時にリレーエマジェンシーバルブが凍結するとブレーキが効いたままの状態(ブレーキの引きずり)となり、ドラム内が加熱して車両火災にもなったりします。
ブレーキが凍結する原因
では、このリレーエマジェンシーバルブですが、ブレーキリレーバルブにエマジェンシー(緊急時)機能をプラスしたバルブです。
ブレーキリレーバルブはブレーキをコントロールするバルブですが、さらにエアー圧などの減少などのトラブル時に非常用ブレーキを掛ける役目も兼ねています。
この大事なバルブですが、トラブルの多くはエアー内の水分によるリレーピストンの凍結です。
本来、ヘット側のエアードライヤーで圧縮空気を作る際、水分を取り除くのですが、何らかのトラブルで水分が取り除けれ無かったり、また、エアータンク内の水抜きを怠っているとエアー内に水分が混ざってしまいます。
凍結に対しては断熱膨張なども関係してきますが、あえてここではこのくらいで。
さて、このリレーエマジェンシーバルブを凍結しない為に先に話したヒーター(トーカス)が取り付かれていますが、(年式が古いのは付いていません)この、ヒーターの不良によってバルブが凍ってしまいます。
今回は、このヒータの不良で適切な温度まで上がりきらずトラブルとなった様です。
ここは、凍結以外に長期間、駐車ブレーキを掛けた状態など、バルブ内のゴムの老化により解除できない事があります。
ブレーキが凍結しない為の対処方法
話はもどりますが、この、トーカスは通常なら、手で触れるとかなり熱く感じますが、劣化により、温度が低くなってしまいます。
やっかいな事に、サーモ機能が付いているので寒い時期でないと点検ができないことです。
我が社の他のトレーラーも確認したところ、トーカスの温度が低い車両もありました。調べてみると3年くらいで要交換とあります。
また、エアータンクの水抜きは、日常点検項目になっていますが、中々、出来そうで出来ないっと言ったところです。
たしかにエアータンクの水抜きは必要ですが、エアードライヤーだけでは水分ゼロという訳にはいきません。
なので点検が必要です。
合せてトーカスの作動加減もお願いします。