そもそも、インターバルとは、休息という意味です。
一般企業では、仕事から解放されてから翌日の仕事に就くまでの勤務間インターバルは、何時間空けなさいという規則はあまり重要視されていませんでした。
それが、2019年4月に施行された働き方改革関連法により、勤務間インターバル制度は事業主の努力義務と規定されています。
運送業界には以前から運行終了から次の運行開始までは8時間空けることが義務付けられていました。これを休息期間と言います。
話は前後しますが、この、勤務間インターバル制度により、他企業間では欧州並みの11時間が努力義務となります。
運送業界へのインターバル制度の概要
これに伴い、運送業界も、2024年4月をめどに実施となります。
内容は休息期間が9時間以上が義務、11時間が努力義務となり、拘束時間が最大15時間なります。
現状は
現在、運送業界においては先にも話したとおり休息期間は、最低でも8時間とされています。
これを下回ると「労働時間等改善基準違反」となります。
この業界はタイムカードが無いのがところが殆どで、記録計(タコグラフ)が基準となっており、前回の運行終了から次の運行開始までが8時間空いていれば一応問題が無いとされています。
この、休息期間には、会社と家を通勤する時間や、家に帰ってから食事や入浴などの時間も含まれます。
例えば、午後6時に運行が終了して通勤に30分×2、家で食事や入浴などで2時間だと仮定して、いくら、次の運行開始まで8時間空いたとしても睡眠時間は5時間になってしまいます。
要するに休息期間=睡眠時間では無いのです。
それを考えると少ないと思われるのも納得せざるを得ないかも知れません。
ちなみに睡眠時間が6時間以下が過労死ラインとされています。
そもそもこの業界は時間が不規則になりやすく、管理が難しいのが難点です。
抱える問題点
それを考えるとインターバル制度の11時間の努力義務はうなずける部分です。
改善策としては労働時間を短縮するしかありません。
運送業界は荷主に対して弱い立場であり、荷主に対しての交渉が中々進まないのが現状です。
この勤務間インターバルを確保するには労働時間の短縮、業界においては拘束時間の短縮が必要不可欠です。
この業界では、運転以外の時間、荷役時間や、待機時間が多く、その時間が一日の拘束時間を長くしている原因とも言われています。
では、この勤務間インターバル制度がこの業界で始まった場合、どんな問題が待っているのでしょうか、
もし、現状の休息期間が8時間でギリギリなら9時間になった場合、荷物の到着は当然1時間遅れになってしまいます。
ドライバーは、毎回家に帰れるとは限りません。
特に、中距離輸送のドライバーは、一日おきに家とトラックの車内で睡眠を摂るケースが多く、家に帰った時は、努力義務とされる休息期間が11時間は妥当かも知れませんが、旅先の車内で9時間摂るのはかえって負担になる様な気がします。
拘束時間や、運転時間の削減には、高速道路の使用は欠かせません。
その中で、ETCの深夜割引制度を利用して経費をなるべく少なくすることがドライバーに負担となっています。
多くのドライバーは、深夜割引が始まる午前0時をめどに最寄りのICを通過します。その為に通過する手前で時間調整をしており、中には本線上の脇に路駐しているトラックもあり、問題視されています。
多くのトラックドライバーは、深夜割引で納品場所近くのICを下り、目的地周辺で仮眠をとるケースです。
現在において、分割で休息期間を設けた場合、連続の4時間以上、トータルで10時間以上とされていますが、この先どのように変わっていくのか興味がある部分です。
最後に
この業界には複雑な要素が多々あり、外からの影響を受けやすいことにあります。
それは、交通障害であったり、先々での待ち時間も大きな要因です。
たしかに、勤務間インターバル時間が多ければ家にいる時間が長くなり、ドライバーにはとっては有難いことです。
しかし、旅先での休息の時間は長ければ良いというのも疑問が残る部分かもしれません。
最後になりますが、勤務間インターバル時間を重んじるが為には、自宅などの車庫以外の許可車庫、点呼の見直しも必要になるのではないでしょうか。