本来、更新を迎える事業者にハガキが届くのは年度が変わってからですが、今回のハガキはGマーク制度見直案についてのお知らせです。
そもそも、Gマーク制度も発足して19年を向かえました。
その間少しづつ変更箇所もありましたが今回、Gマーク申請について取扱いの大幅な変更が検討されています。
正式発表は10月ですが、この変更には今から準備しておいたほうが良さそうです。
では、どこが変更になるのか深堀していきたいと思います。
来年、更新の事業所や、新規で望む事業所の方は参考にされてみてはいかがでしょうか。
目次
Gマーク申請において変更となった箇所は?
今回、おもな変更内容は以下となっています。
- 評価項目関係
- 申請方式関係
- 申請受付期間
- 申請方法
- 申請案内時期
その中で、評価項目関係が2つです。
- 安全性に対する法令の遵守状況
- 安全性に対する取組みの積極性
とあります。
現時点では「見直し案」なので、分かる範囲で説明します。
安全性に対する法令の遵守状況(見直し案)
早く言うと、適正指導員による巡回指導の結果です。
この評価の配点が少し変わりました。
全日本トラック協会の表を引用しましたので見てください。
これを見ると、トータルの配点40点と基準点数の32点は変わりありませんが各、配点数の変更があります。
そうですね、健康起因が原因の事故も増えていますから、そこらへんに重点をおいたのかも知れません。
それと、今までは「運輸安全マネジメント」の評価は提出した資料の中で評価していましたが巡回指導の時に評価されることになり、点数も3点→2点になっています。
1 安全性に対する取組みの積極性(見直し案)
問題となるのはこの項目です。
ですね、
大きく変わったところは、今までは11項目に分かれていたところが4グループに分かれ、トータルの配点数が21点→20点になりました。
- 運転者等の指導・教育
- 輸送の安全に関する会議・QC活動の実施
- 法定基準を上回る対策の実施
- その他
に分かれました。
グループ1 運転者等の指導・教育
このグループ内の選択できる項目は以下があります。
- (1)自社内独自の運転者研修等の実施 配点3点(50%未満は1点)
- (2)外部の研修機関・研修会への運転者等の派遣 配点3点(選任運転者等以外は1点)
- (3)定期的な「運転記録証明書」の入手による事故・違反実績の把握に基づ く指導の実施 配点3点
- (4)安全運行につながる省エネ運転を実施し、その結果に基づき、指導教育を実施している 配点3点
この(1)~(4)の中から、最低1項目、最大で3項目選んで資料を提出する必要があり、ここのグループの基準点数は1点です。
逆に、最低でも1点は獲得しなければいけません。
(3)の定期的な「運転記録証明書」の入手による事故・違反実績の把握に基づ く指導の実施ですが、
※現⾏の⾃認項⽬8.と異なり、(違反等が確認された場合のみ)指導に活⽤してい
ることを証する資料の提出を求める予定です。
なお、運転記録証明書に事故・違反歴が確認された場合は、当該運転者に関する指
導状況(➀運転者名、➁運転記録証明書の発⾏⽇以降の指導⽇時)を記載し、提出し
てください。
とあります。
要するに、違反暦がある運転者に対して指導した記録が求められるのではないでしょうか、
他に(4)安全運⾏につながる省エネ運転を実施し、その結果に基づき、個別の指導教育を実施しているですが、
※現⾏の⾃認項⽬7.と異なり、「⾃社内独⾃の省エネ運転認定制度の活⽤」を対象 から除く予定です。(省エネ運転認定制度の活⽤は、グループ4.(6)にて対象とする予定です。)
ここの部分が除外されました。
グループ2 輸送の安全に関する会議・QC活動の実施
ここは例の、安全運転に関する会議を行っているかのところです。
以下があります。
- (1)事業所内での安全対策会議の定期的な実施 配点2点
- (2)事業所内での安全に関するQC活動の定期的な実施 配点2点
- (3)荷主企業、協力会社又は下請け会社との安全対策会議の定期的な実施 配点2点
この(1)~(3)の中から、最低1項目、最大で2項目(最高4点)を選んで資料を提出する必要があります。
ですね、
現時点の評価項目の、2「事業所内で安全対策会議(安全に関するQC活動を含む。)を定期的に実施している」の中にあった「安全に関するQC活動を含む。」の部分が分離した形になります。
※この項⽬では、現⾏の⾃認項⽬2.のうち、「安全対策会議」のみを対象とする予定です。(安全に関するQC活動は、次のグループ2.(2)にて対象とする予定です)
QC活動のQCとは、 Quality Control (品質向上)の略ですが、ここでは安全に対するQC活動とあります。
したがって、ここでは、グループでの安全に対するミーティングが定期的に行われているかです。
事業所内での安全対策会議の定期的な実施→事業所単位
事業所内での安全に関するQC活動の定期的な実施→グループ単位
※この項⽬では、現⾏の⾃認項⽬2.のうち、「安全に関するQC活動」のみを対象とする予定です。(安全対策会議は、上記のグループ2.(1)にて対象とする予定です)
グループ3 法定基準を上回る対策の実施
ここでは、以下の項目が予定されています。
- (1)特定の運転者以外にも適性診断(一般診断)を計画的に受診させている 配点2点
- (2)効果の高い健康起因事故防止対策(脳検査・心電計・SAS)の実施 配点2点
- (3)車両の安全性を向上させる装置の装着 配点2点(30%未満は1点)
- (4)ドライバー時間外労働時間960時間以下の先取り 配点2点
ここでの変更箇所は、現在における自認項目11の「健康起因事故防止対策等輸送の安全に関する自主的、積極的、独創的、先進的又は高度な取り組みを実施している。」が(2)と(3)に分かれました。
(2)の効果の高い健康起因事故防止対策は脳検査・心電計・SASの受診状況のみが対処となります。
※この項⽬では、現⾏の⾃認項⽬11.のうち、運転者の健康状態や疲労状態の把握に効果が⾼い取組で2点付与の対象であった、 ① 脳検査の受診、② 携帯型⼼電計の活⽤状況、③SAS 検査の受診 のみを対象とする予定です。
まだあります。
次の(3)車両の安全性を向上させる装置の装着も変更があります。
※この項⽬では、現⾏の⾃認項⽬11.のうち、今後具体的に⽰す対象機器・装置の装着 のみを対象とする予定です。
現時点では車両に対して先進的な取組とあり、先進的な対象機器や装置には指定がありませんでした。今回の変更では以下の機器の指定がありそうです。
- 衝突被害軽減ブレーキ(歩⾏者対応)
- ⾞線逸脱警報装置(ふらつき注意喚起装置、⾞線維持⽀援制御装置)
- ⾞両安定性制御装置
- ドライバー異常時対応システム
- 先進ライト
- 側⽅衝突警報装置
- アルコールインターロック
- ドライブレコーダー
とあります。
それと、対象機器が搭載された車両の数が、事業所保有⾞両の3割以上に装着されている場合には配点が2点、それ以下なら、配点1点となります。
そして、新しく設けられた(4)ドライバー時間外労働時間960時間以下の先取りです。
ドライバーの時間外労働時間について,令和5年7⽉1⽇現在有効な36協定で960時間以下を届けていることが確認できれば加点とします。
とあり、労働者側と、時間外労働が960時間以内が労働者側と結ばれて届けてなければなりません。2024年問題の先駆けが伺えます。
グループ4 その他
その他の項目では、
- (1)健康起因事故防止に向けた取組(脳検査・心電計・SAS以外) 配点1点
- (2)輸送に係る安全や環境に関する認証や認定の取得 配点1点
- (3)国が認定する第三者機関による運輸安全マネジメント評価の受審 配点1点
- (4)過去3年以内の行政、外部機関、トラック協会による輸送の安全に関する表彰の実績 配点1点
- (5)リアルタイムGPS運行管理システムなどの先進的運行管理システムの導入 配点1点
- (6)自社内独自の無事故運転者表彰制度の確立又は省エネ運転認定制度の活用 配点1点
この(1)~(6)の中から、最低1項目、最大で項目(最高3点)を選んで資料を提出する必要があります。
(1)健康起因事故防止に向けた取組には、(脳検査・心電計・SAS以外)とあります。
※この項⽬では、現⾏の⾃認項⽬11.のうち、グループ3.(2)にて対象とする、① 脳検査の受診、② 携帯型⼼電計の活⽤状況、③SAS 検査の受診 以外の、健康起因事故防⽌に向けた取組みを対象とする予定です。
それ以外とするれば、憶測ですが、血圧管理っといったところでしょうか、令和1年日本トラック協会で血圧アプリの紹介をしていました。
これについては次期発表の10月になると詳しい情報が分かるかもしれません。
(2)輸送に係る安全や環境に関する認証や認定の取得は、現状の評価項目9「グリーン認証やISO等を所得している」とほぼ変わりがなさそうです。
(5)リアルタイムGPS運行管理システムなどの先進的運行管理システムの導入ですが、現行では、11「健康起因事故防止対策等輸送の安全に関する自主的、積極的、独創的、先進的又は高度な取り組みを実施している」の中でしたが、 GPS等を活⽤した運⾏管理システムなど、先進的な運⾏管理システムの活⽤につ いての評価になりそうです。
※この項⽬では、現⾏の⾃認項⽬11.のうち、リアルタイムGPS運⾏管理システムの導⼊のみを対象とする予定です。
安全に対する取組の積極性(見直し案)については以上となります。
まだ、その他のもあります。
2.申請方式関係(変更案)
現状においては、更新申請で選ぶことが出来る「特例申請」では、B~E方式を選ぶことが可能ですが、D方式が廃止となります。
要するに、前回の巡回指導の結果が良かったから、今回は巡回指導は外して申請します。ってことです。
廃止になった理由は多分、運輸安全マネジメントの評価が巡回指導になるせいかもしれません。
3 申請受付期間(変更案)
現在においては、申請受付開始がおおむね、7月1日から7月14日とされていましたが6月下旬から7月下旬と期間に幅を持たせる意向です。
ただし、申請基準日は7月1日(変更なし)とあります。
4 申請方法(変更案)
申請書に一部は、電子申請が可能となる予定です。
ポイント
今回のGマーク制度見直し案はGマーク制度自体の見直しでは無く、申請基準の見直し、と言ったほうが正しいかもしれません。
私的には、Gマーク自体の見直しのほうが良かった気がしないでもありませが、
たしかに、
今年になってGマーク無しでも遠隔点呼も可能となったことですし、それも一利あります。
それはさておき、この見直し案の大きく変わることは、「安全に対する取組みの積極性」が各グループごとになったことではないでしょうか、
現状では自認項目が11項目あり、トータルの基準点数となっていますが、「運転者への指導。教育」「輸送に対する安全会議」「法定基準を上回る対策」「先進的な健康管理や、運行管理状態」などに分かれ、各グループでの基準点数をクリアしなければならない配点方法となりました。
ポイントとしては、各グループ項目の中からどれを選んでおくかです。
とくに、最近、健康起因がもととなる事故が増えつつ、それに対する運転者への健康管理が求められています。
来年更新、また、初めてGマークを申請する事業所はこの時期から準備が必要です。