運行管理の業務いつもご苦労様です。
去る、6月28日に、千葉県八街市において、飲酒した運転者の自家用トラックが小学校児の列に突っ込み、死傷者が出る痛ましい事故が発生いたしました。
事故をおこしたのは、白ナンバー車両ということであり、点呼はもちろん、アルコール検知の確認もおこなっていなかったそうで、改めて点呼の大切さを思い知らされたました。
本来、運送事業者は「運行管理者」を配置し、乗務前後の点呼や運行上の安全を支持管理しなければいけません。
近年、ICTの発展は目覚ましく、運行管理において安全性の向上、労働環境の改善、人手不足の解消等に向けた手段としてICTの活用が注目を集めております。
身近なところではオンライン授業がそれに当てはまります。
そこで、国土交通省では、有識者で構成された「運行管理高度化検討会」でICTを活用した運行管理が実際に可能であるかの実験を行いました。これからその説明をします。
運行管理高度化検討会への背景
国交省が先立ち、およそ5年先までの目標をたてて行っている「事業用自動車総合安全プラン」というのが有ります。
今回は「事業用自動車総合安全プラン2025」ということで、その中にICT、自動運転等新技術の開発・普及推進 、ICTを活用した高度な運行管理の実現とあります。
その先駆けとして高度な運行管理の実現にむけて運行管理高度化検討会を実施することになりました。
もちろん、点呼の自動化やIT点呼についても議論しました。
この課題は事業用自動車総合安全プラン2025の案の中で意見を募集した中でも多かった部分でもあります。
運行管理高度化検討会で議論された内容
まず、この検討会は第一回目は令和3年3月24日にコロナ禍の感染拡大防止のためWEBでおこなわれ、二回目は令和3年6月28日におこなっています。
大きくわけて3つあります。
・自動点呼の実証実験について
・運行指示者の一元化の進め方について
遠隔点呼(IT点呼)の実証実験における評価
現在、Gマーク所得の営業所間どうしか、認可後3年経過また、運輸支局からのペナルティーを受けていない事業所とその車庫間しかIT点呼が認められていないことはご存知だと思います。
その枠を拡大する。すなわち他営業所間での点呼が可能であるかを検証します。
検証するにあたって、旅客、貨物の両方が実施し、貨物はボルテックスセイグン・三菱電機ロジスティクスの二社が個々に営業所とグループ企業間で高度な点呼機器を使用した遠隔点呼の実証調査を開始しました。
その結果では年度末には機器の性能の検討段階まで進むとあります。
自動点呼の実証実験について
ロボットで行う点呼は現在では運行管理者がそばにいての補佐しかできません。
今回の検証では、ロボットが点呼における確認、指示項目の一部または全てを代替できるよう、機器の要件を検討します。
使用する機器はナブアシスト社のユニボを使用。
検証スケジュールは初期段階では運行管理者が同席の上で運用とし、あとの期間で乗務後点呼時に運行管理者が原則として同席しない状況で運用する予定です。
これにより、年度末には機器の検討段階に入る予定です。
運行指示者の一元化の進め方について
この案件は複数ある営業所の車両の動態管理や運行中のドライバーへの指示を総合で管理、指示できるかの検証になります。
これにより、営業所の運行管理者の業務の簡素化や運行の効率が見込まれます。また、長距離の定期便などでは「乗換え型運行」が進むことも考えられます。
この検証も輸送の安全が実証できれば年度末には制度化を検討段階に入る予定です。
まとめ
この検討会では業界の人出不足の解消や運行管理者の業務の軽減などが背景にありそうです。
数年先に施行となる「働き化改革」はドライバーだけでは無く、管理する者も関わってきます。現に、時間外労働はドライバーより少ない時間です。
今回の検証では現在、運行管理者が行っている対面での点呼を遠隔点呼(IT点呼)の対象の拡大に向けた場合の問題や、自動点呼(ロボット点呼)の導入に向けた点呼支援機器の認定制度等、を図りました。
実証に大きな問題がなければ条件つきでしか認められていなかったIT点呼や運行管理者が同席無しのロボット点呼も可能になりそうです。
その為には我々運送事業者は遠隔で管理できるシステムを備えたデジタコや点呼に必要な機器を良く考えて導入しなければならないのかも。