運行管理の業務ご苦労様です。
来年から時間外労働時間の制限(960時間)が始まります。
今日はその時間外労働、残業代について話たいと思います。
そこで、皆さんの会社は運転者に対して残業代はどの様に支払っていますか。
この、残業代は労働者側とトラブルに発生しやすい部分であり、近頃では弁護士事務所もこの残業代未払いについては力をいれており、労働者側からの要望を積極的に受け入れています。
ここでは、運送業界に多いみなし残業の注意点や、違法性に関わることについて話してみたいと思います。
みなし残業とは
そもそも、みなし残業って何?ってことですが、
みなし残業の中に、「みなし労働時間制」と「固定残業体制」があるのを知る由があります。
大まかに説明すると、「みなし労働時間制」は、実際に働いた時間にかかわらずあらかじめ決められた労働時間を働いたとみなす仕組み、基本、残業しても賃金は増えない。
※深夜労働、内勤など時間が算定できる労働に従事した場合は除く
対する「固定残業体制」は、あらかじめ一定の残業時間をきめておき、一定の時間を越えた場合はその分の残業代が増える。
この様にみなし残業とは、会社側が労働者の正確な残業時間が把握できない場合にあらかじめ残業時間を見込んで支払う仕組みです。
例えば、外回りの営業マンなどは普通の社内勤務の人と比べると労働時間の把握が難しく、あらかじめ1ヶ月の残業時間を想定して支払っているところも少なくありません。
私たちの業界もこの運行は大体、何時間かかるからこれくらいが残業になるとか、設定しているところが多いです。
この様にあらかじめ残業時間を設定して支払っている事業所も少なくありません。
でも、これって違法と思われる人もいるかも知れませんが、これって正当な残業代支払いシステムです。
ただ、労働者側とトラブルになるケースも多いのも事実です。
運送業がみなし残業が多いわけ
では、運送業界にこの、みなし残業が多い要因に時間の把握の難しさがあります。
最近では、デジタコでの管理が進み、時間の管理はできるのでは?っと思われるのも正直なところですが、人材不足や、労務管理面などの煩わしさでこの業界にみなし残業が多いのかも知れません。
でも正直なところ、会社側としては、運転者の労働に対する考えは時間では無く、作業内容なのです。
時間が労働に対する軸だと、同じ仕事でも早い人と遅い人がいます。その場合、仕事をこなすのが遅い人のほうが残業代が多くなってしまいますし、交通状態や、出先での待機時間などのも左右されます。
早く言うと、余分には支払いたくない、金銭的に余裕が無いってことです。
とかく、みなし残業はグレー的な感じがありますが、逆にあらかじめ残業代が決められていれば仕事を効率良くこなせば早く帰れるといったメリットもあります。
みなし残業が違法と問われるポイント
先にも触れましたがみなし残業制はすべてに違法性があるわけではありませんが、以下のことに関係すると違法に問われます。
① 基本給と残業代の区別が明記されていない
② 追加の残業代が支払われ無い
③ 就業規則など労使側との合意がない
などです。
①の「基本給と残業代の区別が明記されていない」は、本来、給料明細に基本給○○、その他手当て○○、時間外手当○○と明記する必要があります。
もちろん、残業時間も明らかにしなければなりません。
もしかして、管轄する県の最低賃金を下回っているかもです。
②の「追加の残業代が支払われ無い」は、誤解しやすいのはみなし残業代を払っているから残業させ放題っと思っている事業主も多いかと、これ、大きな間違いです。
「みなし労働時間制」の場合、深夜労働や、別途、内勤労働の時間が発生した部分は残業代が追加になり、「固定残業体制」では、規定の残業時間を超えるとその分は支払うべきです。
また、労働者側もみなし残業代を貰っているから残業しなければいけないっと勘違いされているケースも多いようです。
本来、みなし残業は、時間の管理が難しい場合、あらかじめおおよその時間を決めて支払う仕組みで実際に掛かる残業時間とかけ離れている場合は別途残業代を労働者側に支払わなければならないのです。
みなし残業を行う注意点
みなし残業制を導入する場合、就業規則などに記載するなども必要ですし、労働者側との合意がなければなりません。
また、労働者側とトラブルになりやすいのは、みなし残業時間と実際の残業時間がかけ離れている場合が一番の要因です。
実際掛かった時間より、みなし残業時間のほうが多く見積もってあれば誰でも文句がでませんが、その逆はトラブルの元です。
それには、時間外労働時間の管理が必要です。
まとめ
みなし残業制は労働者側とトラブルが生じやすく、未払い残業代請求にも発展しやすい面をもっています。
とかくグレー的なイメージがするみなし残業ですが、基本給と残業代の区別をつけ労働者側と納得のいく上で行えば作業効率も上がる要素もあるのかも知れません。