この4月から、運転者の労働時間を管理しています.
その中で、気になることがあります。
それは、同じ仕事内容でも運転者に労働時間が違うのです。
交通事情や、先方の状態で変わるのは当たり前ですが、それだけでは無いのです。
今日はその事について話してみたいと思います。
デジタコに入力するのは、運転者
では、どう言うことか、
その前に、労働時間とは「労働者が企業の指揮命令下にある状態」を指し、会社からの指示によって作業をしている時間は労働時間です。
簡単に言えば、出社して退社するまでが労働時間で、そのうち休憩時間は除外かれます。
一般の会社員や、工場で働く人は時間管理が統一できますが、運転者は出社時間もまちまちで、仕事内容もバラバラです。
では、運送業の労働時間はどの様に管理しているか、
それは記録計(アナ、デジタコ)が基本となっています。
大手運送企業はタイムカードや他の方法かも知れませんが一般的にはこの方法です。
デジタコの場合、この中で運転や積込などの項目に分かれます。デジタコ管理の会社なら「そんなの当たり前だ」って言われそうですが、「積込」、「休憩」、「待機」などの項目のボタンがあり、それを操作するのは運転者です。
前振りが長くなりましたが、その項目によって労働時間が変わってしまうのです。
どう言うことか、例えば先方の都合で待機させられたとします、普通なら「待機」になる訳ですが、それを「休憩」にしてしまう事です。
したがって、休憩なので労働時間にならなくなります。
待機時間は、休憩なのか
ここで待機させられている時間は休憩時間か、労働時間かが問われます。
本来は、待機時間は、労働時間に分類され、その判断は、指揮命令下におかれているか否かがネックとなります。
したがって、待機時間は荷待ち状態であり、何時、労働が開始するか分からない状態です。 たしかに身体は休んでいますが、完全に労働から解放されている訳ではありません。
では、「運転手さん、あと1時間かかるから休んでてね」っと言われた場合はどうでしょう。
結構こういう場合ありますよね、この場合の判断って難しいです。
この様に待機時間と休憩のボーダーラインって難しいところがあります。
待機を休憩とさせる理由
また、待機時間を休憩時間に変えてしまう場合、運転者自らが行う場合と、会社側がする場合があります。
労働基準法の中に1日の労働時間が8時間以上の労働をさせた場合、雇い側は少なくとも1時間の休憩を与えなければなりませんし、運転者も摂らなければなりません。
運転者はいったん出庫してしまうと、ある程度個人の判断に委ねられます。なので1日に1時間摂らなければならない休憩時間を他の項目、待機時間もそうですが、積込時間などの一部を休憩時間にしてしまう場合があります。
何故そんなことをわざわざするのか、それは早く帰社する為です。本当?っと思われるかも知れませんが我が社にも数名います。
要するに、休憩を摂るより早く帰ったほうがイイってことです。
では、会社側がする、させてしまうケースは、記録計の待機時間を休憩として扱う、指示するなどです。
実際、デジタコの日報は、時間まで変えることは出来ませんが、作業内容は後で変えることが出来てしまいます。
例えば、「待機」⇒「休憩」、「積込み」⇒「休憩」の様に、
理由は、何と言っても労働時間を少なくさせる為です。
会社にとっては休憩時間が多ければ人件費が安く済み、また、時間外労働時間も少なくなるのでこれに越したことはありません。
時間がかかる運転者ほど労働時間が長くなる
後、ほかにも同じ運行でも運転者によって労働時間が変わるケースが有ります。
それは能力です。
人はそれぞれ能力の違いがあります。
例えば、積込みに要する時間が1時間で終わる人と1.5時間かかる人もいます。
これが工場勤務なら、時間軸が皆同じなので終業時間を揃えることも可能ですが、運転者の場合は、時間がきたから途中で終わりにすることは無理です。
早くいうと、仕事を早くこなす人は労働時間が少なくなる傾向があり、遅い人は労働時間が長くなる傾向があります。
それについての問題
チョット回りくどい言い方になってしまいましたが、会社側からすれば仕事が遅い人は必然的に時間外労働が多くなるので、残業代が多くなることです。
言い方は悪いですが、仕事の遅い人は給与が高くなり、テキパキこなす早い人は給与が低くなってしまうことになります。
少し、複雑な感じです。
この、業界に出来高制が多いのもそんな理由があるのかも知れません。
最後に
雇い側の意見になってしまいますが、国が進める労働条件は、時間制であり、運送会社の考えは時間では無く、出来高なのです。
来年4月から、残業時間が960時間に規制される問題もありますが、これに付随して賃金形態を時間制に余儀なくされることになり、こちらの方が運送自業者にとって大きな問題かも知れません。