「台湾列車脱線事故」から、サイドブレーキ引き忘れは意外に多い

台湾で大きな事故が起きてしまいました。

高速列車が脱線してトンネルの壁にぶつかり、50人以上の死者が出ました。

当時、線路の上で工事をしており、工事関係の車両がサイドブレーキの不備から無人走行して線路内に滑落したところへ特急列車が追突してしまいました。

私は運行管理の仕事をしているのでこの事故を他人ごとでは無いと思い、早速、自社のドライバーへ注意喚起を促すため、点呼時や一斉メールでドライバーに流しました。

それから4日後の事です。

・・・自社でも同じ様なこ意外とが起きてしまったのです。

そうです。同じサイドブレーキの引き忘れからによる事故が我が社でも起きてしまったのです。

幸い、双方の車両の破損だけで済みましたが、一歩間違えれば台湾の列車事故のような大惨事を招いたかも知れません。

実は、このドライバーには朝の点呼時にサイドブレーキの引き忘れによるトラブルの話をして送り出した矢先の事故です。

事故の詳細は積込に入る際、トラックを事務所前に止め、積込の受付に向かった時です。

受けを済ませトラックへ戻ったら、トラックが無人で動いてしまい、数メートル先に止めてあった、ここの会社の人の四駆車に当たって止まりました。

この時、初めてサイドブレーキをかけ忘れた事に気がついたとの事です。

あれ程、台湾の事故の話をしたのに非常に残念な結果となりました。

意外に多いサイドブレーキの引き忘れ・・・

サイドブレーキ、又は、パーキングブレーキの引き忘れなどが原因で運転者が乗っていない無人で動き出した事故を警察が事故分類する時、「自然発車」と命名しています。

この自然発車の事故は意外に多く、2013年ころから一機に増え、2009年から2018年までの10年間で2,352件の自然発車による人身事故が発生し、そのうち死亡事故は162件です。

ここ数年はいくらか減少傾向にあるものの、死亡者の数は増加の傾向が有ります。

記憶に新しいところで愛知県津島市で2020年9月18日、会社員の女性が自宅の駐車場にワンボックスカーを停めて荷物を降ろしていたところ、クルマが急にバックで動き出し、止めようとした女性が車と塀に挟まれて、意識不明の重体となる事故が発生しました。

人は動き出した車を必死で止めようとする心理が働き、車のドアーと障害物の間の挟まれたりするケースが多く、最悪の場合、亡くなることも珍しくありません。

また、神戸市北区でも2019年12月、50代のバス運転手の男性がサイドブレーキを引き忘れたまま車内点検で運転席を離れたため、バスが動き出し近くにいた小学生の男児3人がけがをした。

このように、サイドブレーキの引きが甘かったり、引き忘れが原因の自然発車事故は以外に多く、初心者よりベテランドライバーが多いそうです。

オートマ車はサイドブレーキを掛けない・・・

最近では、乗用車はオートマ車が大半で、Pレンジに入れればミッションのギヤがロックされ、ブレーキが掛かった状態になり、オートマ車だとPレンジに入れただけでサイドブレーキを掛けない人が増えています。

こうしたこともあり、普段オートマ車に乗っている人がマニュアル車に乗った場合、サイドブレーキを掛け忘れてしまうことも考えられます。

また、最近の大型車もオートマ車が急速に増えています。今回、自社で事故を起した車両もオートマ車でした。

トラックのオートマ車は乗用車などのトルクコンバータ方式ではなく、クラッチ操作と変速を機械が行う機械式です。この方式は現在のところ大型車にはPレンジがありません。

そして、こんなことが疑問に思うようになってきました。

トラックはひき忘れ防止の安全装置が遅れている・・・

それは、サイドブレーキを掛け忘れてドアーを開けた場合、警報装置が鳴らないか否かです。

我が社には日野車とUDトラックスしか無いのですが、日野車はホイールの締め付けがISO方式に変わった頃、2010年ころからサイドブレーキを引き忘れてドアーを開けた時(エンジンがOFFの場合も)警報装置が鳴る仕組みになっています。反面、UDトラックスの場合は、新顔からの導入と遅れています。

偶然か?ミスを起す要素が重なった・・・

我が社の事故を起した車両もUDトラックスの車でした。

ここで、サイドブレーキを引き忘れてしまう要素が偶然に重なった様な気がするのは私だけでしょうか、

①普段オートマ車に乗っている人はサイドブレーキをあまりかけない(当該ドライバーの自家用車はオートマ車)

②今回、事故を起した車両もオートマ車だった

③サイドブレーキ引き忘れ防止装置がついていない車両

まあ、これは結果論ですが、以上挙げた原因が一つでも違っていればこの事故は起きなかったかも知れません。

果たして予防策はあるのか・・・

では、こう言った引き忘れによる事故を防ぐにはどうしたら良いのだろうか、一言でいってしまえば「確認」であることは間違いない、

車の運転のように日常的に繰り返す動作は無意識にできる半面、別の動作が急に入った場合などにミスを起しやすい。
また、慣れた動作だからこそ確認が怠りがちになってしまうの事実です。

今回、事故を起したドライバーの事故報告書の改善策には「車を離れる時はサイドブレーキの確認をする」、「必ずタイヤ止めをする」などといったことが案の定書かれていました。

我が社では駐車時にはタイヤ止めをするようになっていますが、自社の駐車場内では行っていますが、果たして他のところで毎回タイヤ止めが実施できるのであろうか・・・

人間はミスを起しやすい・・・

人間は失敗やミスを起しやすいものです。
この人間のミスを補ってくれるのが機械であり、安全装置です。

トラックの場合、特に大型車は現在、サイドブレーキを引き忘れても警報が鳴るだけで自動でブレーキが掛かるまでには至っていません。
この辺りもメーカー側で早期検討してもらいたいところです。

大惨事にならなくて良かったが本音・・・

最後に思ったことは我が社で起きた事故は他の車両へダメージを与えてしまいました。
逆に、この車両が無ければ土手したへ落ちていったに違いありません。

もし、この土手下に家や学校があったらと思うと「ぞっと」します。
一歩間違えば台湾の列車事故に近い大惨事になっていたかも知れないのです。


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