何時も安全運転ご苦労様です。
少し前に、日本国籍の貨物船がモーリシャス沖で座礁して船の燃料である重油が流出した事故がありました。
海に流れ出した重油は1000トンを超え、魚やサンゴ礁、海草、マングローブに大きな影響を与えてしまいました。
もとの海に戻るのに30年近くかかるそうです。
それだけ油による汚染は復帰するのには長い年月がかかります。
モーリシャスの貨物船とまでいかなくても我々の普段乗っているトラックにも燃料が200リットル以上積まれており、一旦、漏れ出してしまうと重大な影響を及ぼします。
今日はその燃料漏れを起こすとどうなるか、燃料漏れになる原因について話してみたいと思います。
目次
まず、燃料が漏れだすとどうなるか
以前にトラックのオイル漏れの記事を書きましたが、今日はオイル漏れより怖い燃料漏れです。
それは燃料の方が漏れ出すと粘度が低いので早く流れ出してしまいます。
それにオイルより燃料の方がタンクに蓄えている量も多いからです。
油の流出は色々な障害を与えます。
流れ出した油は河川の汚水や、田に入れば稲作にも影響を与えたり、水資源に入ったら甚大な被害となり、保証がとんでも無い金額になることも考えられます。
燃料漏れは車両が停まっている時とは限らず、走っている最中に起きる場合も考えられます。
路上に垂れた燃料に他車両がスリップして事故が起きた例もあり、燃料漏れから二次災害を起す可能性があります。
燃料漏れとなる原因とは
大型車の場合、燃料を300~400リッターもの燃料(軽油)を積んでおり、燃料が漏れだす箇所が一番多いのは、やはり燃料タンクからです。
ではタンクからの燃料漏れはどの様な原因から起きるのでしょうか。
タンクとタンクの連結ホースの劣化
燃料代を節約するため自社の給油施設で満タンにして、なるべく他のGスタンドで給油をしないように燃料タンクを増設しているトラックをみかけます。
メインになるタンクとサブのタンクの連結部が樹脂のホースを使用している場合が多く、このホースが劣化して何らかのはずみで抜けてしまい漏れ出すことがあります。
燃料タンクの残量の確認部分
これも同じようなことですが、タンクの残量を見る部分がやはり同じ樹脂のホースになっており、劣化して漏れ出すことがあります。
タンクの老化
今ではアルミ製の燃料タンクが多くなってきましたがまだ、鉄製のタンクも少なくありません。
冬場のエンカルなどでタンクの底部分が錆び、徐々に穴が空いてしまうことがあります。
グレーチングの蓋が起き上がってしまった。
工場の構内などで側溝にグレーチングなどで蓋をしてある場所がよく有ります。
この蓋も古くなったりして変形してくると前タイヤで踏んだとき、起き上がってしまい、偶然にも燃料タンクに刺さった例も珍しくありません。
サブタンクからのオーバーフロー
燃料タンクを増設した場合、サブタンクから落差を利用して前側のメインのタンクへ燃料が流れる仕組みになっています。
駐車した場所などで勾配がきつくなるとサブタンクからメインタンクに燃料が移り過ぎ、給油キャップから燃料があふれだしてしまいます。
ガソリンスタンドでのミス
スタンドマンも人の子です。
たまには忘れることもあります。そうです、燃料キャップを閉め忘れることもしばしあります。
大型車がメインに使う大手のGスタンドではキャップの不備がないかチェックシートなどでマニュアル化しているところもありますが、たまに忘れることもあります。
燃料が漏れた場合の対処
漏れ出す前に予防出来たらこれに越したことはありません。
事前に点検しておくことで防げる場合が多いのも事実です。
例えば、連結ホースなどの劣化はゆすってみて硬くなっているようなら交換する。Gスタンドでスタンドマンに給油してもらったら自分の目でキャップの閉め具合を確認したり、人道的なミスは未然に防ぐことが可能です。
しかし、一旦漏れ出してしまったらどうやって対処すれば良いのでしょうか。
まずは漏れ出している部分からの流出を止めることが大事です。
もし、燃料タンクに突起物が当たって穴が空いてしまった場合、紙ねんどで応急的に止めることも可能です。油性のねんどでは溶け出してしまうので紙のねんどが望ましいです。
空いた穴が大きかったり、止める手立てが無い場合は手の施しようがありません。
この様になってしまった場合は河川などに流れないように食い止めなければいけません。
吸着マットなどがあればそれで吸い取ることも可能ですが、あまりにも量が多い場合はオガくずや土で流出を防ぐことも考えなければいけません。
そして、気をつけなければいけないのは中和剤などで中和させた後は自然乾燥させることです。けっして水で流さないことです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
一般的に油もれは環境汚染や火災や事故といった二次災害にも発展する可能性があり、単なる油漏れでは済まないということです。
日ごろからの点検を怠らず、事前に少量の漏れを発見し修理しておくことです。
近頃では、各社でも構内に入講する際に吸着マットや中和剤などの有無の確認事項が義務つけられているところも多くなってきました。
もし、工場や荷主先の構内で燃料などが漏れだしてしまった場合は直ぐに決められた場所へ連絡を摂らなければいけません。
一般道なら119の消防署へ電話することを忘れずに。