点呼は運行管理において重要な要でもあります。
点呼に始まり、点呼で終わるといっても言い過ぎではありません。
しかし、巡回指導において指摘、改善をされることの多い項目です。
この度、運輸安全検討会において遠隔での点呼を実証、検討した結果、今まではGマーク認定事業所などしか認められていなかったIT点呼がそれ以外の事業所が可能になります。
詳しく教えてくれ!
本当にすべての事業所でIT点呼は出来るのか
結論から言いますと、すべての運送会社(営業所)でIT点呼が可能となります。
名前も「IT点呼」→「遠隔点呼」となります。
本来、点呼は対面でおこなうのが基本とされてきました。
今の時点においては、Gマーク認定とか、行政処分が無いなど、ある一定の条件を満たした事業所とその車庫間でしかIT点呼が認められていません。
国土交通省が「事業用自動車総合安全プラン2025」の中で、ICTを活用した高度な運行管理の実現をあげています。
その先駆けとして、運行管理高度化検討会立ち上げ、遠隔での点呼を実証した結果、対面点呼と同等の確実性が認められ、最終段階となりました。
この記事を読んでいただけると分かると思いますが、「最近のCIT技術(情報通信技術を活用したコミュニケーション)は目覚しい発展があり、人出不足の運送業界でも利用していこう」と言うことです。
狙いは、点呼が運送会社の規模によらず確実に実施させる為でもあります。
運送業界は中小零細企業が9割を占めており、中には、会社の社長まで運転している事業所も珍しくありません。
こういった小規模の運送会社でも確実に点呼を実施させる意図が伺えます。
その為には、Gマーク認定などのしばりを外し、すべての運送会社でもIT点呼、遠隔点呼がおこなわれる様にしなければならないのです。
国土交通省自動車安全政策課長名(旅客・貨物)で各、支局宛に令和3年12月27日つけで通達がだされています。
いつから遠隔点呼が可能になるのか
運行管理高度化検討会においては図に示してある様に、令和4年1月から3月までは制度化案の修正及び、機器性能の要件を検討とあるが、通達には令和4年7月以降とあります。
ハッキリした実施日までは通達事項に書いてないので分かりませんが、第四回運行管理高度化検討会が3月末で終了した時点で決まることではないでしょうか。
今までのIT点呼と遠隔点呼の違いは?
少しややこしいのですが、今までのIT点呼と呼び名が変わっただけで、通信機器を使って遠隔でおこなうことには大きな違いはありません。
そうです。
事業所(営業所)とドライバー個人単位ではありません。
ここの部分の変更はありません。
では、下の図を見てください。
いままでのIT点呼では、
- Gマーク所得の事業所とGマーク所得の営業所
- 開業から3年が経過しており、かつ、優良性が認められる事業所(営業所)とその車庫間
これからの遠隔点呼においては、
- 優良性や開業経過などのしばりが無く、すべての事業所(営業所)が対象
- 他の営業所と他の営業所の車庫間
- グループ企業間
申請さえすれば、すべて事業所が遠隔点呼が可能になったことは大きな変更です。
また、今まではグループ企業間の点呼においては、同一敷地内で、しかも対面でしか認められていませんでしたが、 同一敷地内 のしばりも外れ、遠隔点呼も可能となり、管理側の負担がかなり軽減されそうです。
遠隔点呼をおこなうためには
まず、「遠隔点呼をおこないます」という申請を出す必要があります。
申請書を遠隔点呼実施営業所等及び、被遠隔点呼実施営業所等を管轄する運輸支局長、運輸監理部長又は陸運事務所長(以下「運輸支局長等」という。)に提出すること。
国土交通省
これは今までと何ら変わりがない気がします。
要するに、遠隔点呼をおこなう双方の管理下の運輸支局への届け出が必要です。
遠隔点呼に用いられる機器・システムが満たすべき要件は、次のことがあります。
- モニター及びカメラ
- 使用するカメラ・モニターは200万画素以上、
- フレームレートは30fps以上の性能
- 運行管理者側が使用するモニターは、16インチサイズ以上かつ解消度は1920×1080ピクセル以上
- アルコール検知器の測定結果が自動的に保存でき、測定結果が直ぐに確認ができること
- 運行管理者、運転者双方のなりすましを防げれるような生体認識機能を有すること
遠隔点呼をおこなう為には、必要な情報が遠隔点呼を行う営業所等間で共有され、遠隔点呼双方の運行管理者等が確認できなければいけません。
- 日常の健康状態
- 労働時間
- 指導監督の記録
- 運行に要する携行品
- 運転者台帳又は乗務員台帳の内容
- 過去の点呼記録
- 車両の整備状況
詳しくは下ボタンに国土交通省から各支局あてに出した「遠隔点呼実施要領について」をリンクさせてあります。
まとめ
いかがでしたか、
今回の改正にはGマークなどのしばりが外れたことが一番の大きな変更です。
今まではGマークを取得したインセンティブ、すなわち、Gマークを取得した「ご褒美」みたいなところがありました。
これにより、Gマークを所得する意味も軽減してしまったのも正直なところかも知れません。
残る問題は、実施日が案として、最短で令和4年7月以降とあり、実際に我々一般に公表があるまで気になるところでもあります。
遠隔点呼がすべてに事業所(営業所)で可能になれば点呼の幅が広がり、運行を管理する側の大幅な労務の軽減が伺えそうです。