「適正化事業指導員の巡回指導について」の封書が届くと何処の会社もドキッとするのが正直なところです。
実際、この、巡回指導と監査を勘違いしている人が多いのも事実です。
逆に、指導だからと安易に考えていると、あとで痛い目になることもあります。
今回、我が社も巡回指導がありましたのでこれを見て参考になさって下さい。
残念ながら裏ワザはありません!
そもそも、巡回指導とは
巡回指導とは、分かりやすく言えば、運送事業者が適正な業務を行っているかを適正化巡回指導員による視察です。
この結果により、指導員が運輸支局へ速報が必要か否かを判断します。
運輸支局が判断して、適正化事業実施機関へ指示します。通常、2、3年くらい周期で行われますが、開業して間もない、適正な業務が疑われる事業所も対象になるそうです。
巡回指導の通知は、その行われる日付けより1ヶ月半くらい前に郵送で送られてきます。
発行元は、管轄する運輸支局からです。
内容としては長々と書いてありますが、簡単に言うと、
早く言うと、地区の管轄するトラック協会の人間です。
名刺には、「貨物自動車運送適正化事業実施機関」と書いてあり、肩書は、「適正化事業指導員〇〇」になっています。
この適正化指導員が事前に通知した帳票類の回覧や、業務が適正に行われているかをチェックします。
この、巡回指導は、Gマーク申請の「安全性に対する法令の遵守状況」の配点にも直結しています。
なので、巡回指導の結果が悪いとGマークを申請してもダメってことになります。
巡回指導の通知がきたらどうするのか
まず、以下の関係帳票類(直近事業年度また直近月)を揃えておく必要があります。
経営許可申請・登記簿謄本・事業計画変更認可申請書
(票帳類)
運転者台帳・運行管理規定・点呼記録簿・点呼執行要領・運転日報・運行計画表及び勤務割当表・拘束時間管理表・乗務基準・運行記録計・運行指示書・受注伝票・運行、整備管理者選任届・運行、整備管理者解任届・運行管理者資格者証・運行管理者、整備管理者研修手帳・乗務員への指導教育計画表、同教育記録簿・適正診断計画表、同診断結果・出勤簿・事故記録簿・自動車事故報告書・事業報告書(本社に限る)・事業概況報告書(本社に限る)・役員変更届(本社に限る)・車両台帳・整備管理規定・点検、整備記録簿・日常点検基準・日常点検票・定期点検基準・定期点検整備実施計画表・賃金台帳・定期健康診断結果・就業規則・36協定届書・労災、雇用保険加入台帳・健康保険、厚生年金加入台帳
(経理関係)
総勘定元帳・経費明細簿・現金出納帳・固定資産台帳・リース契約書
一応、文面にはこれだけ用意しておく事となっています。
もし、不備な帳票類があったら事前に整えておく必要があります。
巡回指導員が主に重視するところは
ちなみに、我が社の場合は赤字で書いた部分を見ていきました。
これは、巡回指導員の采配にかかってくるので難しいところでもありますが、1時間半から2時間程度なので要所要所を確認していきます。
許認可申請書及び同確認書
事業計画変更認可申請書
事業所(営業所)、車庫の位置等の変更が無いか、収容能力に変更が無いかまた、休息・仮眠施設の確保は適正かが問われる。
特に、営業所間で車両の入れ替え等により、事業計画変更届出書と実際の保有台数が合っていないとダメですぞ、
票帳類
票帳類関係は、沢山あるので項目ごとに分けて確認します。
車両関係
車両台帳により、正しく車検証や、自賠責の証書が管理されているかが問われ、その車両が定期整備画表により、定期整備記録簿や、日常点検票が適切に保存されているか、
車両台帳は、車検証、自賠責保険の証書をコピーしておけば良い、注意することは、車検証や、自賠責の証書が車検後に新しく変わっていること、
運転者について
運転者台帳により、運転者の雇い入れた日付や、運転免許証、事故歴、健康診断日などが管理されているか、また、36協定届書・労災、雇用保険加入台帳・健康保険、厚生年金加入台帳などの不備がないか
運転免許証の更新や、健康診断の実施日などの台帳への書き換えも確認すること
運転者に対する指導は、乗務員指導教育年間計画表に基づき教育記録が保存されているか、
最近の傾向としては、ドライバーに対する指導、教育には力をいれています。また、65歳以上のドライバーがいる場合、適齢診断を受けているかチェックします。
運転者に対して健康診断が確実に行われ、記録が保存されているか、
ドライバーの健康起因が原因で起きる事故が増えているので必衰項目、もし、健康診断が未受診だった場合は行政処分対象です。
運行管理者、整備管理者関係
適正な数の運行管理者、整備管理者が選任されているか、また、選任、解任の届出は適正か、定期に講習を受けているか、
管理者の選任や、運行管理者、整備管理者の一般講習を受講しているか確認します。
運行管理関係
点呼記録簿は適正に行われているか、また、記録の不備がないか、
運行記録計(タコグラフ)は適切に管理され、拘束時間管理表の記入不備がないか、
2泊以上の運行がある場合、正副の運行指示書が管理されているか、
点呼記録簿は必衰項目です。また、拘束時間管理表により、運行管理が適切におこなっているか、もし、拘束時間などが超えている場合はその理由などを記録しておけば良い場合も、
違反があった場合はどうなるの?
巡回指導で悪質な違反があった場合は、運輸支局への速報となり、監査が入ります。
まず、点呼が全く行われていないとか、定期点検を実施していない、運行、整備管理者がいないなどは即、支局への速報対象です。
指導員にもよりますが、記録計に理由などを書いておけば情状酌量の余地があるようです。いずれにせよ、不備や軽微な違反などは、改善書が指導員から出されます。これにより、3ヶ月以内に改善がなされ無い場合も支局への通報となります。
巡回指導が行われた日から2週間ほどで今回の指導結果が郵送されてきます。もし、改善が求められていた場合は一緒に改善書も同封しています。
まとめ
巡回指導は言わば、車で言えば車検のようなものです。
日ごろから票帳関係を整備しておけば何も巡回指導が来るからといって慌てる必要もありません。
しかし、実際、通知がきてから寝る間も惜しんで記入漏れや、抜けを確認したりする事業所も少なくありません。
これを機に月に一度は票帳類を整備することを勧めます。我が社も普段からしっかりやっているつもりでしたが軽微な部分を指摘されました。
巡回指導は、監査とは違いますが、やはり緊張するものです。