何時も運行の管理ご苦労様です。
先日、Hマークのトラックをメーカーに車検に出したところ、「シャーシにある打刻が消えているのでこのままでは車検が受かりません」と言われました。
えっ!何それ、車検が受からないってどういう事!
実は、車検時の確認項目の中に車体番号の確認があり、打刻が確認できない、すなわち、車体番号が確認出来ない車両は車検にパス出来ないのです。
これは民間車検でも同じです。
では何故、打刻が消えてしまうのか、もし、打刻が消えてしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。
打刻が消えたら車検が受からない
打刻とは車体番号を刻印してある番号です。
乗用車などのモノコックボディー車はボンネットを開けたヒンジ側に明記してありますが、トラックの場合、シャシーのフロントタイヤの近くに打ってあります。
この打刻と車検証の車体番号が一致、照合出来ないと車検が受かりません。
今回は打刻の文字が一文字消えてしまっているので車検証の番号と照らし合わせることが出来ないのでアウトという事です。
検査員の判断にゆだねられますが、検査員がダメと言ったらダメなのです。
では、車検が受からなければこのトラックはどうすれば良いのでしょうか。
何故、打刻が消えてしまうのか
今回のトラックは2014年に初登録の車両です。
では何故、7回目の車検時に指摘されたのか、それは錆びによるシャシーの腐食により打刻が消えてしまったのが原因です。
大抵の大型車は左のフロントタイヤのシャシーに打ってあり、冬時期の融雪剤などが頻繁に掛かる場所なので錆びてしまったのです。
それと、Hマークの車両は、他のメーカーと比べ、打刻が薄く、また、リベットの部分から錆びが進行してしまいます。
この様に打刻が消えてしまう原因は錆などの腐食が多く、なかには人道的に消される場合も有ります。
たとえば盗難車の場合、車体番号が分からない様に無理と消して売りつけるケースが有ります。大型車では余程ありませんが個人売買などでは気を付けなければいけません。
この様な車両を買った場合、登録ができません。
また、平行輸入で購入した車も打刻が入っていないこともあるので注意が必要です。
この様に打刻が削られて無い、打刻事態が無い場合、また、確認が困難な場合、登録や継続車検が受からないのです。
打刻が消えた場合、どのような処置をとるか
我が社と同じように民間車検で打刻が確認できなかった場合、各地区の運輸支局へ現車を持ち込んで確認をすることになります。
そこで運輸支局の検査員が確認出来ないとなったら「職権打刻」の申請になります。
職権打刻という言葉はあまり聞いたことが無いのですが、要するに打刻を打ち直すことです。
いままでとは全く違う番号を新しく打ち込みます。
その為には「打刻申請」を行います。
殆どはメーカーで手続きは行ってくれますが、参考の為に
※運輸支局へ現車を持ち込んで車体番号(打刻)が確認出来ないと判断された場合
- 職権打刻申請書 (運輸支局で入手できます)
- 製造証明書 (ディーラーで入手します。費用が掛かかる場合も)
- 車検証 (コピー可)
- 旧車台番号が確認できるもの (拓本をとるなど)
申請を出してから、運輸支局からの連絡により打刻の実施日が決まる流れになります。(一週間ほど)
打刻日が決まったら、
- 手数料納付書(手数料印紙350円)
- OCRシート2号様式(打刻の位置により10号様式も必要)
- 委任状(所有者及び使用者の印鑑)
- 自動車検査証
以上の必要書類を持参して運輸支局へ出向くことになります。
しかし、今回の様に車検の満了期限が切れた車両は動かすことが出来ないので車両を所有する市町村の仮ナンバーをつけて行くことになります。(従来のナンバープレートの上に重ねて取り付けてもOK)
打刻申請は運輸支局へ時間の予約をしておくとスムーズに行われ、1時間程度で済むのであらかじめ事前予約をしておくことを進めます。
大抵の場合、新しい車体番号は 国[01]012345 のような番号になってしまいます。
これで晴れて職権打刻が完了となります。
まとめ
しかし、まだ、このまま会社へ帰るわけにはいきません。何故なら車検の検査を受けていないのでメーカーの民間車検の検査を受けてすべて終了となります。
今回、車検時に打刻が確認されないことが判明したわけですが、大型貨物の車検満了機関は1年間とされており、いくら錆による打刻消失にしても前回の車検では問題がなかったかは疑問の思うところであります。
車検満了日目前の車検だったので結果的には、約、1週間ほど車両が運行出来ない事態が発生してしまい大きな痛手となりました。
Hマークのメーカー曰く、錆などで打刻が消えかかっている車両も珍しくないそうで、今、思えば前回の車検時に「打刻が消えかかっていますよ」などの呼びかけが欲しかったと思うのも正直なところです。
しかし、車両管理は自己の責任なので責任を転換することもできません。この記事を読んでおられるHマークのユーザーの方がおられるとしたら、打刻が確認できるか見ておいたほうが良いでしょう。
何故なら、Hマークのトラックは打刻が消えやすいからです。
職権打刻した車両は下取り価格が下がってしまったり、部品の供給時など面倒なことが起こることが考えられるので普段から気をつけなければならない。