何時も安全運転ご苦労様です。
今年は昨年と違って寒い日が多いようです。
先日、早朝出発のトラックがサイドブレーキが凍って出発にかなり手間とってしまいました。
寒さに弱いのは人間だけではありません。
トラックも寒いのには弱いのです。
現在はトラックのブレーキはフルエアーになっており、サイドブレーキもホイールパーク方式になっているので、整備不良により凍り付いてしまいます。
では、何故サイドブレーキが凍り付いてしまうのか、そして解除する方法はどのようなことをすれば良いのか話してみたいと思います。
サイドブレーキが凍結しまった場合の解除方法
以前のトラックはエアーとオイルの併用もありましたが、今ではフルエアー式になっています。
サイドブレーキもセンターロック方式からブレーキドラムをロックする方式になっています。
ブレーキの制動、解除などを制御するリレーバルブといった部品が使われています。
このリレーバルブ内が気温の低下により、凍って解除出来なくなってしいます。
これは日野車のリレーバルブですが、このバルブを温めればサイドブレーキの凍結は解除することは出来ます。
※右側のバルブはABSバルブです。分からない場合は両方暖めてもOK
リレーバルブはメーカーによって形状や取り付けられている場所が異なりますが、日野車(単車)の場合、右側のフレームの裏側に付いています。(前駆動軸の少し前)
車体の下部へ潜らないと分からない場所なので注意が必要です。
解除するときに注意すること
車両の下部へ潜る作業なので安全を十分に確保してから行わなければいけません。
・サイドブレーキのレバーを引いておく
・タイヤに輪トメを行う
・エアサスを上げた状態で行わない
・ヒートガンで温める際、他のエアーホース類に熱風をかけない事
などです。
特にサイドBレバーを解除しての作業は大変危険です。必ず、レバー確認と念のための輪トメを行って下さい。
リレーバルブ付近は樹脂のエアーホースが密集しているので熱風がホースにかから無い様に注意が必要です。
ブレーキリレーバルブの役割
では、このリレーバルブとは一体何をする部分なのでしょうか。
ブレーキペタルからの圧力信号を感知して、ブレーキ側へ高圧エアーをコントロールする部品です。
電気関係にもリレーが付いていますが、役割はほぼ同じです。
電気のリレーは少ない電気信号で大きい電気のONとOFFを切り替える役割を担っています。
メリットは、大きい電力が流れる時に接点がスパークしてスイッチを痛むのを防止したり、リレーを動力部分の近くに置けば大きい電流の配線が短く済み、電力ロスを防げます。
エアーのリレーも同じ様に、Bペダルで踏まれた小さい圧力でエアータンクの大きい圧力をブレーキ側へコントロールしています。
リレーバルブを使うことで圧力のロスが無く、エアーチャンバーに高圧エアーを送ることが出来ます。
以前のトラックはエアーとブレーキオイルの併用式(エアオーバーハイドロリック)でした。
その為、長い下り坂でブレーキの使い過ぎにより、ブレーキオイルが過熱され気泡が出来てしまう現象(ベパーロック)が発生しました。
その為、最近ではフルエアーブレーキ式になっています。
サイドブレーキが凍らないためには
要するに、リレーバルブ内に水分が溜まらない様な手立てを行う必要があります。
①エアードライヤーを定期的に交換する
②エアータンク内の水抜きを小まめに行う
③リレーバルブを定期的に交換、整備する
④リレーバルブに凍結防止ヒーターを付ける
まず、空気中には水分が少量含まれていることを忘れてはいけません。
空気が冷たいもの触れると水になります。
今のトラックはブレーキ以外にエアーで操作するエアーサスペンションなど、沢山の高圧エアーが必要です。
その為には外気の空気をコンプレッサーで圧縮して複数のタンクにエアーを溜めなければいけません。
コンプレッサーで溜めたエアーには空気中のゴミや水分がタンク内に入ってしまうのでエアードライヤーを通してなるべく乾いたきれいな圧縮空気をタンクに溜めています。
エアードライヤには乾燥剤が使われていますが、定期的な交換を怠るとゴミや水分を除去出来なくなってしまい、そのままタンクへ送ってしまいます。
最終的にその空気はリレーバルブや配管内に溜まってしまい、バルブ内に水分があると、気温が下がる冬期に水分が凍結し、バルブ内のピストンが固着することでブレーキが掛かったままになってしまいます。
また、トレーラー等はリレーバルブ部分にヒーターを付けるなどの対策も講じられています。
まとめ
一旦、凍り付いてしまったリレーバルブは暖めて解除してもバルブ内の水分が除去された訳では無いのでリレーバルブの交換修理が必要です。
空気を圧縮して高圧のエアーを利用しているトラックにとって空気は身近にある物で便利なものです。
しかし、空気には水分が含まれており、この水分がシール等の老化を早めたり、気温低下による、凍結も引き起こしてしまいます。
たとえ、エアードライヤーで水分を取り除いても完全に取り除くのは不可能であり、ドライバーがエアータンクの水抜きが必要不可決です。
冬季間だけでは無く、それ以外の季節にも小まめなエアータンクの水抜きが必要です。
コメント
エアーオーバー車が無くなったのはベーパーロックが原因では無いです。型式登録の際の検査基準が変わって、フルエアでないと合格しなくなったためです。あと、説明するなら「寒いから凍結」ではなく、もっとちゃんと説明してほしかったと思います。
そうですね、気温低下により、リレーバルブ内の凍結によりバルブ内のピストンの動きが悪くなってエアーが送られて無くなったのですね、
有難う御座います。
主様は「単純凍結」しか視点が行って無い様ですが、リレーバルブの凍結はそれだけでは有りません(単純凍結の方が少ない)。ご存知の様にリレーバルブは圧縮エアが入る事により内部機構が作動しますが、圧縮されたエアはその圧力に応じ温度が上がります(断熱圧縮)。しかし、外部環境により冷され外気と同じ温度に成り、また 圧力開放時にそれが冷える事により温度が更に下がります(断熱膨張)。それが繰り返される事で外部環境よりも温度が低くなり、結果リレーバルブ(内部の水分)が凍結します。この話の怖いところは、最初から凍ってれば車両が動かなくて困った困ったで済むのですが、走行してて暫く経ってから、しかも出ようと思ってブレーキを離したときに凍るという事で、これも 完全に凍ってくれればまだ良いのですが、半分戻らないまま気づかずに走行してしまいブレーキ引きずりを起こしてしまう。最悪車両火災に至ってしまうという事案です。一般に凍結具合は内部を分解しないと解らないので、一律リレーバルブの水分注意として居ますが、実際のところはその様な事情によります。