運行管理の業務ご苦労様です。
運行管理の根源でもある「点呼」は事故やトラブルを瀬戸際で防ぐ為の大事な業務です。
しかし、巡回指導などで点呼の不備を指摘される運送事業者が多いのも事実です。
その背景には、運送業界は一般の会社と違って出社や帰社の時間がまちまちであり、深夜早朝を問わず点呼を実施する管理者に負担がかかり、すべての時間を一人で行うのは無理が有ります。
働き化改革は何もドライバーだけではありません。
運行を管理する人も改善されなくてはいけないのです。最近ではロボットが点呼者の補佐が行われるようになり、点呼者の負担が軽減されるようになりました。
そんなこともあり、これからの点呼はどの様に変わっていくのでしょうか。
現在の点呼での問題点
先にも触れましたが、点呼は疾病が原因による事故を瀬戸際で防いだり、ドライバーが安全な運行が出来るための指示と確認ではないでしょうか、
本来、点呼は対面で行うことが基本とされていますが、やむおえない場合に限っては電話での点呼も規定内で認められています。
やむおえない場合とは、遠隔地の為、乗務前点呼又は乗務後点呼を運転者が所属する営業所において対面で実施できない場合等をいいます。
この場合、車庫に戻らず最長6日間(144時間)までは電話での点呼が許されています。
なら、初日に対面で点呼して、中間は自宅の近くや積込先や納入先の駐車場から出発して6日目に帰社して対面点呼すれば同じことと思われるのも正直なところです。
同感だぜぃ
しかし、問題は「やむおえない場合に限って」ということです。
長距離輸送なら対面で点呼を行うのは無理があります。何故なら、点呼者が一緒に運行しない限り対面で行うことは不可能です。
この様に、運送会社によっては、必ず、車庫で運行開始、車庫で運行が終了するとは限らないのです。
たとえば、得意先の会社内や、倉庫でトラックを預けて運行が終了する場合など、対面で点呼の為、わざわざ、会社まで戻って点呼を行うより、自宅が近ければ電話で点呼を済ませ、直接自宅へ戻ったほうが休息時間も多く摂れるのは言うまでもありません。
そんな訳で、放置車両などの駐車条件をクリアさえ出来れば長距離輸送時の点呼の条件と変わりないと、誰しもが思うところです。
要するに、点呼は場所では無く、点呼の中身です。
これからの点呼はどの様に変わっていくのか
先程も点呼は基本、対面で行うと言いましたが、2007年からIT点呼が行えるようになりました。
IT点呼とは国土交通省が認める機器を使い、遠隔から通信を通してリアルタイムで点呼に必要な確認項目を行う方法です。
営業所と営業所間で行えるので点呼者の人手不足にはありがたい方法です。
しかし、IT点呼を行えるのは、「Gマーク認定営業所」間という条件付でした。
それから、現在、Gマークを取得していない事業所でも営業所と車庫間はIT点呼は可能となりました。
そうですね、以下の条件が揃っていなとダメです。
・運輸開始後3年を経過している
・過去3年間、第1当事者となる自動車事故報告規則に掲げる事故を引き起こしていない
・過去3年間、点呼の実施違反に係る行政処分を受けていない
・適正化実施機関の直近の巡回指導評価がD、E以外であり、点呼に関する指摘がない又は点呼に係る改善報告書が3か月以内に提出され改善が図られていること
そこで今回、事業用自動車総合安全プラン2025において、今般の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響、大規模水災害・雪害の激甚化・頻発化、高齢社会の進展、ICT・先進安全技術の急速な発展等、と大きな状況の変化がありました。
事業用自動車総合安全プラン2025とは
国土交通省が主体となり、事業用自動車の事故防止の対策や社会環境などの改善を期限を決めて目標をあげています。
そして、今年は事業用自動車総合安全プラン2025ということで、その中の重点施策にICT技術の運行管理の高度化と有ります。
ICT(情報通信技術)とは、「Information and Communication Technology」の略で、コンピュターなど使い通信技術を活用したコミュニケーションを指します。
要するに、高度な通信技術を使用しての運行管理を目指すという事です。
その先がけとして、「対面点呼原則の撤廃」「ICTを活用した点呼や運行管理の高度化と一元化」の方向性を明確にしました。
現在は優良性が認められる営業所間や一定の条件が認められた事業所しかIT点呼は認められていませんが、これにより、対象が拡大する可能性があります。
それどころか、AIロボット(人口知能)による点呼も可能になることも検討中です。
背景には
このコロナ禍により、各、企業では在宅ワークやWebでの会議などといった密にならない、又はなるべく人と接触を防ぐ方法が求められています。
我々、運送業界では在宅で仕事を行うには、物理的には無理があり、外部との接触をコントロールすることは難かしく、ドライバーの感染の予防としてはマスクの着用と除菌くらいしかありません。
せめて、社内の接触だけでも防げれればそれに越したことが無いのが本音です。
以前から、Gマーク、いわゆる、「安全認定事業所」間しか認められていなかったIT点呼は何故、Gマークを取得していなければいけないのか、点呼はどこの事業所でも行うことが同じなのにおかしいと疑問視されてきました。
そもそも、点呼はドライバーの免許証の確認やアルコールの検知から始まり各、確認と注意喚起を促すことが必要です。
しかし、現在のIT技術を使えばアルコールのチェックや免許証などの確認は得意分野でもあり、あとは、通信を通しておこなえば何も対面で点呼をする必要なく、点呼する側も点呼時の確認項目がクリアすればロボット、すなわちAIが行っても問題がないと思われます。
現に、今現在は点呼時の補佐でしか承認されていないロボット点呼も検討段階に入っており、残すところ、運転者の疾病などの体調の見極めだけとなっています。
まとめ
このように情報通信技術を使い映像をとおして行う点呼は対面で行う点呼と何ら変わりがなく、離れた場所で行う点呼を最近ではリモート点呼と呼びます。
今まで「やむおえない場合に限って以外は対面」でおこなわれる点呼でしたが、優良事業所に限って「IT点呼」が認められ、更に、ある、一定の条件を満たした事業所にも緩和されるようになりました。
また、今回の事業用自動車総合安全プラン2025で「対面点呼原則の撤廃」と「ICTを活用した点呼や運行管理の高度化」を明確にあげています。
少なくとも2025年までにはすべての運送事業所が遠隔で行える点呼、また、現在、「点呼支援型ロボット」もロボットだけの点呼も近い将来実用化が期待できます。
点呼業務と点呼内容をロボットで代替できるようになれば、人手不足が深刻化するなかでも着実かつ効率的に点呼業務を実施できるようになり、貨物自動車運送事業者の業務の安全性と生産性の向上が期待できそうです。