
「遠隔点呼」って聞きなれない言葉です。
なんとなく分かるけど、でも、実際、遠隔点呼って何、って感じです。
今までは、「IT点呼」と呼んでいたのが今回の運行管理高度検討会において「遠隔点呼」と呼び始めたのです。
何で?
理由は分かりませんが、今までのIT点呼には、「Gマークを取得している、巡回指導の結果が優良、開業してから3年以上が経っている」などの条件がありました。
今回の改正で以上の様なしばりが外され、呼び名も遠隔点呼となりました。
では、この遠隔点呼は今までのIT点呼とはどこが違うのでしょうか。
遠隔点呼とIT点呼の違いって?

何といってもGマークを摂っていなくても遠隔点呼は可能ということです。
今までのしばりが外され、希望するすべての事業所(営業所)が申請さえ出せば遠隔点呼が行えます。

では、今までのIT点呼からこのタイミングで呼び名が変わっただけでしょうか、
ここに国交省の「遠隔点呼実施要項について」にこのように書いてあります。
輸送の安全に関する取組が優良であると認められる営業所において認められている現行のIT点呼及び旅客IT点呼については、別添「遠隔点呼実施要領」の規定に関わらず、従前のとおり取り扱うものとする
この文面からすれば、遠隔点呼とはIT点呼と別物、または、別の規定があり、少なくても同じものではありません。

これから深堀していきたいと思います。
遠隔点呼とIT点呼の違い(機器編)
IT点呼を行うためには「国土交通大臣が認めた機器」とあります。
その国土交通大臣が認めた機器とは、
「国土交通大臣が定めた機器」とは、営業所で管理する機器であって、そのカメラ、モニター等によって、運行管理者等が運転者の酒気帯びの有無、疾病、疲 労、睡眠不足等の状況を随時確認でき、かつ、当該機器により行おうとする点呼 において、当該運転者の酒気帯びの状況に関する測定結果を、自動的に記録及び 保存するとともに当該運行管理者等が当該測定結果を直ちに確認できるものをい う。
それに対して、遠隔点呼の機器については以下のことが書いてあります。
カメラ・モニター等を通じ、遠隔点呼実施営業所等の運行管理者等が、被遠隔点呼実施営業所等の運転者の顔の表情、全身、酒気帯びの有無、疾病、疲労、睡眠不足等の状況を随時明瞭に確認できる機能を有すること。なお、運転者を撮影するカメラは、200 万画素以上、かつ、フレームレートは 30fps 以上の性能、運行管理者等が使用するモニターは、サイズは 16 インチ以上、かつ、解像度は1920×1080 ピクセル以上の性能を有することが望ましい。
IT点呼より、遠隔点呼のほうがカメラ、モニターなどは更に細かく書かれています。
また、運転者の顔の表情はもとより、全身が確認できることが定義つけられています。

顔以外から疾病、疲労感などを見極めるためではないでしょうか、
いずれにしろ、IT点呼よりカメラ、モニターには、鮮明さが求められています。
遠隔点呼とIT点呼の違い(管理・環境編)
IT点呼をおこなうには、「点呼を行う側」、「点呼を受ける側」との情報が共有されていないといけませんし、点呼の実施状況がお互いの事業所(営業所)で間で共有されて保存されなければいけません。
このことについては「遠隔点呼」には、やはり事細かく明記がありました。
運転者の疾病、過労、睡眠不足を遠隔点呼実施者が確認できるような情報の共有として、
- 日常の健康状態
- 労働時間
- 指導監督の記録
- 運行に要する携行品
- 運転者台帳、乗務員台帳の内容
- 過去の点呼記録
- 車両の整備状況

やはり、他営業所では情報不足による運転者の身代わり防止や、疾病、疲労などからによる事故を未然に防ぐ目的がありそうです。
また、遠隔点呼で記録された結果を保存する方法についても記載があります。
- 点呼の記録デターは、双方で共有し、1年間保持されること
- 点呼の記録デターは改ざん、修正、消去ができない不正防止機能を要する
- 点呼機器の故障発生時にその内容がデータで記録され、1年間保持されること

ほかに、遠隔点呼をおこなう環境にも規制されています。
先ほど運転者の全身が写るカメラを有するとありましたが、「運転者がアルコール検知器の使用時の状況が確認できるよう天井などに監視カメラをそなえ、運行管理者が必要に応じ映像を確認できること」とあります。

これはチョット問題ありそうですね、
あとは、点呼、特に深夜、早朝でのIT点呼をおこなう場所は事務所外の暗い場所が多く、遠隔点呼では照明度が500ルックス程度となっており、点呼において会話が妨げられない環境が整っていることとあります。

先に情報の共有とありましたが、他営業所の運行管理者は面識の無い運転者と遠隔点呼をおこなう場合が発生します。
その場合、あらかじめ運転者と対面、オンラインなどで面談する機会を設けて健康状態、顔の表情などうを確認しておくこととあります。

また、もし、遠隔点呼において点呼実施者が運転者が乗務することが困難となった場合、その後の対応や、運行においての必要な情報を運転者に周知させなければなりません。

遠隔点呼とIT点呼の違い (範囲編)
この、遠隔点呼では冒頭で述べたように一番大きな違いは、Gマーク認定などのしばりが無くなったのは言う間でもありません。
次に大きく緩和されたことは、グループ企業間でおこなう場合も認められたのです。もっとも、グループ企業間には「100%株式保有による支配関係にある親会社と子会社又は、100%子会社同士」というしばりがあるものの、運行管理者の労力削減や人材不足には大きな改善が期待できそうです。
まとめ
いままでの「IT点呼」と、これから始まる「遠隔点呼」の違いについて述べてきましたが、はっきり言って「Gマーク認定のしばりを外したけど、これだけ守れたらやっても良いよ!」的な感じがします。
おこなう機器にしても今まで以上の精度が求められ、記録の管理、おこなう環境の規制も明確に表わしています。
また、遠隔点呼をおこなう事業所同士の情報の共有も重んじられていて、点呼時の不正防止や、体調不良などによる事故を未然に防ぐための要素が盛り込まれています。
運行管理における点呼は重要な要でもあり、対面でおこなう「対面点呼」に、かなうものが無い証拠かもしれません。