運送業界、2024年問題一色ですが、その前に時間外労働賃金引上げが2023年4月1日から実施となります。
時間外労働時間の上限960時間の開始と同じと間違えている人もいるので注意が必要です。
2024年問題の前に2023年問題ってことです。
大手企業は先駆けて月、60時間を超える残業に50%の割増率を支払う義務となっていますが、中小企業も同じ割増率になります。
これは運送業界も同じです。
自分は運行管理職だから労務関係は関係が無いと思っているかも知れませんが、後々、労働者側とトラブルになる可能性がある部分なので気をつけたいところです。
今回は時間外労働時間の割増賃金について考えたいと思います。
60時間超の時間外労働賃金割増し率、引き上の概要
運送業会社の多くは中小企業です。ちなみに中小企業とは、資本金5000万円以下、又は、常時の労働者数100人以下のどちらかにあてはまれば中小企業となります。
中小企業に属する運送会社は現在、2023年3月までは改善基準告示範囲以内なら、残業時間には上限がありませんが、法廷労働時間を越えた残業には基本賃金の25%を割増して支払う義務はご承知と思います。
これが、2023年4月1日からは60時間を越えた分には25%⇒50%の割増賃金を支払わなければいけません。
上の図は基本給が309.600円の設定で、60時間時間以上の残業が14時間あった場合、1.3%の賃金アップにつながります。
「何だ、割と少ないな!」と思われるかも知れませんが、これは時間外労働が年間、960時間を達成しているケースです。残業時間には上限が無い現時点では、かなりの割増賃金を払うことになるかも知れません。
残業代の基本賃金の考え方
本来、運転者に残業をさせるには、36協定を結び、届け出が前提となります。
運転者に支払う残業代を計算するには1時間あたりの時間給、いわゆる、基本賃金を知る必要があります。
基本賃金(1時間あたりの賃金)の出し方は、
- 基本給を知る
- 自社の所定労働日数を知る
- 月平均労働時間を出す
基本給を知る
運送会社の給料形態は、基本給を低めに設定し、手当などで総額を合わせているところが多く、基本賃金を計算するにあたって基本給に含まれる手当と含まれ無い手当があり複雑です。なので、一度、担当経理士に相談されるのがベストです。
自社の所定労働日数を知る
所定労働日数は、1年365日として、自社の就業規則で決めてある休日を引いた日数です。
例 365日-104日=262日(完全、土日休日)
ですね、法定年間労働時間が2080時間と決まっているのでその範囲内で決める必要があります。
1日8時間、週40時間×1年52週=2080時間(法定年間労働時間)
月平均労働時間を出す
自社の所定労働日数が出たら、所定労働日数×1日8時間=所定労働時間です。
ここで注意することは、先に触れた法定労働時間の2080時間を越えない工夫が必要です。
あとは、年間の労働時間がでれば、
例 2080時間÷12ヶ月=173.33で少数点切捨てで 173時間です。
ここでは法定年間労働で計算したので、自社の月平均労働時間は月173時間を越えてはいけません。
基本賃金の出し方
月平均労働時間が出れば、
基本給÷自社の月平均労働時間=基本賃金(1時間あたりの賃金)となります。
例 170.000円÷173=982円
ですね、管轄の県の最低賃金を下回ってると問題ありですね。
基本賃金が出れば「1時間の基本賃金×1.25×残業時間=残業代」となります。
60時間をこえると赤字の部分が1.5となります。(2023年4月から)
深夜割増もあります
さらに、時間外労働時間の他に深夜の時間(22時~5時)に働いた場合は深夜手当てとして25%の割増賃金が加算されます。
注意点とは
法定労働時間を越えて残業させるには36協定の締結、届出が大前提です。
また、残業代未払いなどで労働者側と問題なる部分です。これを防ぐには、基礎となる基本賃金と残業時間の明確化です。
給料明細も基本給○○、手当て○○、残業代○○とハッキリ分かるように明記する必要があります。
- 時間外労働60時間超は25%⇒50%増し2023年4月1から
- 月平均所定労働時間=(365日-年間休日数)×一日の所定労働時間
- 基本賃金=基本給÷月平均所定労働時間 ÷12
- 所定労働時間 ≦ 法廷労働時間