2025年6月、「トラック新法」と呼ばれる法律が成立しました。
これは、正式には「貨物自動車運送事業法等の一部を改正する法律」といって、運送業界を取り巻くいろんな問題を解決するために作られたものです。
でも、「また難しい法律ができたのか」と思っている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、この“トラック新法”がなぜできたのか、どんな内容なのか、そして私たち運送業者や荷主にどう関係してくるのかを、わかりやすくご紹介します。
そもそも、トラック新法ができた経緯とは?
ここ数年、運送業界では「2024年問題」が大きな話題になってきました。
これは、働き方改革の一環でトラックドライバーの労働時間に上限が設けられ、長時間の仕事ができなくなるというもの。
一見良いことのように思えますが、その一方で、「運べる荷物が減る」「収入が減る」「人手不足がますます深刻に」といった課題が出てきました。
しかも、今まではドライバーに無理をさせて、安く・早く荷物を運ばせていた構造があったことも事実です。
このままでは物流が崩壊しかねない――。
そんな危機感の中で、国は運送業界の働き方・取引のあり方を根本から見直す必要があると判断し、今回の法改正に踏み切ったのです。
トラック新法ってどんな法律?ポイントはこの4つ!
では、今回の法改正で何が変わるのか?
わかりやすくまとめると、以下の4つが大きな柱です。
✅ 1. 許可が「5年更新制」に
今後は5年ごとに事業許可を更新する必要があります。
安全管理や法令遵守ができていない業者は、更新できない可能性もあります。
✅ 2. 「適正な運賃」を守ることが義務に
国が示す「適正原価」を下回るような運賃で運送を請けることは禁止されます。
ドライバーの待遇改善や健全な取引のための仕組みです。
✅ 3. 「再委託」は原則2次請けまで
再々委託など多重構造を防ぐため、再委託は2次請けまでとする努力義務が課されます。
責任の所在を明確にし、事故やトラブル対応をしやすくします。
✅ 4. 白トラ(無許可運送)の排除
許可を持たない“白ナンバー車”による運送は違法。
荷主が知らずに使ってしまった場合でも、罰則や公表の対象になる可能性があります。
誰に関係する法律なの?
この法律は、運送会社だけでなく、荷主にも直接関わる内容です。
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「安く運んで」と荷主が圧力をかければ、それだけで違法になる可能性があります。
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運送会社は、再委託先の管理や、契約書類の整備がより重要になります。
つまり、運ぶ側も運ばせる側も、しっかり法律を理解し、正しく取引することが求められているのです。
本当に効果はあるの?期待できるの?
もちろん「法律ができたからといって、すぐに現場が変わるわけじゃない」と感じる方もいると思います。
ですが、この新法には業界全体を立て直そうという国の本気度が表れています。
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無理な価格競争の抑制
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働きやすい職場の整備
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適正に運営する業者がきちんと報われる仕組みの構築
少しずつでもこれが実現すれば、将来的に若者が「トラックの仕事っていいかも」と思える環境に近づくはずです。
おわりに
「トラック新法」は、私たち運送業界にとって大きなターニングポイントになる法改正です。
ただ難しい制度が増えると見るのではなく、業界全体が持続可能で明るい未来に向かっていくための第一歩として、前向きに受け止めていきたいものですね。