2024年は改善基準告示も改正になります。
2024年4月1日から働き化改革の一環である時間外労働時間960時間の上限と同じタイミングで変更になります。
あと、1年と少しですが今から準備しておいたほうがよさそうです。
目次
改善基準告示とは
そもそも改善基準告示とは?ってことですが、早く言うと拘束時間や運転時間などの決めごとです。
改善基準告示は、自動車運転者の労働時間の改善の基準で、トラック以外のバス、タクシーなどの運転者も含まれます。
事業主は、運転者に対して労働基準法以外に改善基準告示も配慮しなければなりません。
変更点 拘束時間について
拘束時間とは始業から終業までの時間で、一番、基礎となる部分です。
現行は、
・1日の拘束時間は原則13時間以内、上限16時間以内。15時間超えは週2回まで。
・1カ月の拘束時間は293時間以内
・1年の総拘束時間は3,516時間以内
ですが、変更後は、
※特例として、1週間の運行がすべて長距離輸送(1の運行450km以上)で、1の運行における休息期間が住所地以外の場所である場合は16時間まで延長可(週2回まで)
長距離輸送の場合は少し複雑ですが、「1週間、帰社できない運行の場合は途中、16時間まで使っても良いよ、その代わり2回まで」ってことでしょうか。
ちなみに、1の運行とは、ドライバーが所属する事業所(営業所)を出発してその営業所まで戻ってくる事を1の運行です。間違えやすいのは積み地⇒降ろし地までではありません。また、長距離輸送の場合、出発から帰社までが最長144時間(6日間)までとなっています。
※特例として、①労使協定により310時間まで延長可、その場合、6ヶ月分で、連続で284時間超えはは、3ヶ月まで。
②284時間越える月は、時間外、休日労働時間が、100時間を越えないこと
現行と比べると、1ヶ月、9時間の減少です。たとえ、労使協定を結んでいても310時間と制限されます。
1年の拘束時間は、原則3.300時間以内
※特例として、労使協定により3.400時間まで延長可
となります。
何故か284×12ヶ月=3.408じゃ無いのですかね。
変更点 運転時間について
運転時間については現行と変更ありません。
ちなみに、原則、2日平均9時間、2週平均44時間
変更点 連続運転時間について
運転の中断時には、原則として休憩を与える(1回の休憩時間は、10分以上、合計30分以上)10分未満の運転の中断は、3回以上連続しないこと。
※特例 SA.PAなど駐、停車できないやむを得えない場合、4時間30まで可
いくら車が止まっていてもドライバーが作業していては運転か、作業しているかの違いであり、実際の休憩にはなら無いって事です。
また、最近の交通事情に合わせ、駐停車できない場合の緩和措置も考慮されています。
変更点 休息期間について
運転者が仕事から離れて自由に使える時間を休息期間と言います。
現行では、
でしたが、変更後は
※特例 宿泊を伴う長距離運行(450km以上)は、9時間を下回(8時間以上)っても可、その場合、運行終了後に連続12時間以上の休息期間を与える。
現行の8時間から、9時間となった訳ですが、「11時間以上与えるよう努める」ってのが意味深ですね。まあ、インターバル制度を考慮した結果でしょうか。
特例の長距離輸送の場合ですが、「1週間帰らない運行の場合、2回まで8時間の休息期間でも良いです。その場合は、帰社してから、連続で12時間以上の休息期間を与えてください」ってことです。
予期し得ない事象(新設)
予期し得ない事象とは、事故、災害、故障などにより、1日の拘束時間、運転時間、連続運転時間が守られなくなった場合に考慮されます。
予期し得ない事象に入るのは、
- 車両の故障
- 乗船予定のフェリーが欠航した
- 災害や、事故で道路が封鎖、または、渋滞したこと
- 異常気象により、正常な運行が困難となったこと
予期し得ない事象で時間が超えた場合は、タコグラフ、日報にその旨の記載の他、公的機関の情報も付けることとあります。
信憑性の問題でしょうか。
特例措置
ここで言う特例とは、休息期間や、拘束時間について触れています。
分割休息(連続9時間の休息期間を与えることが困難な場合)
・休息期間の合計は、2分割は、10時間以上、3分割は、12時間以上
・3分割が連続しないよう勤める
・一定期間(1ヶ月程度)における全勤務数の2分の1が限度
現時点では連続8時間の休息期間がとれない場合は分割(4時間以上)で10時間以上とされていますが、改正後は連続で9時間となったことで分割の割合が変わります。
2分割時には、4時間以上⇒3時間以上となり、合計の10時間は変わらず、3分割もOKと言うことです。その場合、合計が12時間以上で、連続はNG,1ヶ月の勤務数の半分が限度です。
2人乗務(運転者が同時に1台の自動車に2人以上乗務する場合)
働き化改革により、2人運行も考えられます。
特例 要件が満たす設備、(車両内ベット)がある場合、拘束時間を以下のように延長することが出来る
・拘束時間を24時間まで延長可(運行終了後、連続11時間以上の休息期間を与える)
・さらに、8時間以上の仮眠を与える場合、拘束時間を28時間まで延長可
要件が満たす設備とは、車両ベットが長さ198cm以上、幅80cm以上、連続した平面で、走行中、路面からの衝撃が緩和されること、とあります。
そもそも、走行中、寝台で寝ること事態、道路交通法に問題ないのか?
たしかに、矛盾した部分もありますが、基本は現状と同じです。条件を満たした場合には、24時間まで拘束時間が延長でき、さらに8時間仮眠をしたら最長28時間までOKということですが、チョット理解しがたい内容です。
まとめ
今回の改正には特例付きの苦しまぎれの感じがしないでも無いですが、緩和された部分も感じます。また、運転者の休息期間、インターバル制度が問題視されている現状、11時間が努力義務となっているところも意味深です。
- 1日の拘束時間、基本13時間、上限、15時間、14時間超は週2回まで
- 1ヶ月の拘束時間、293時間⇒284時間
- 運転時間変更なし
- 連続運転時間 休憩以外の停止時間は運転時間とみなされる
- 休息期間 11時間努力義務、9時間以上
- 時間については予期し得ない事象への緩和措置
- 分割休息 1回3時間以上、3分割可(合計12時間以上)
- 2人乗務 基本変更なし 特例追加