トラック新法の「4つの柱」をわかりやすく解説!運送業界はどう変わる?

2025年6月、「トラック新法」として運送業界に関する法律が改正されました。


正式には「貨物自動車運送事業法等の改正」ですが、今回はその中でも特に重要な4つのポイントをわかりやすく解説していきます。

この新法は、トラックドライバーの労働環境を守り、業界全体を持続可能にするための大きな一歩です。
では、実際に何が変わるのか?順番に見ていきましょう!


✅ 1. 許可が「5年更新制」に(2028年度までに導入予定)

これまでは、一度運送業の「許可」を取れば、事業を続けることができました。
でも、新法ではこれが大きく変わります。今後は5年ごとに許可の更新が必要になります。

では、更新時には何がチェックされるのか?ポイントは次の通りです:

  • 法令違反をしていないか(点呼記録、過労運転など)
  • 安全管理ができているか(事故率、指導記録など)
  • 運行管理者がちゃんと配置されているか
  • 経営の健全性(納税義務を果たしているか)
  • 行政処分履歴の有無

更新できないと、最悪の場合は営業停止や廃業に追い込まれる可能性もあります
逆にいえば、普段からルールを守って、きちんと運営している会社にはプラスに働く制度です。


✅ 2. 「適正な運賃」を守ることが義務に

これまで運送業界では、「とにかく安く」という価格競争が激しく行われてきました。
その結果、ドライバーの給料が上がらない・働き方が過酷になるという問題が続いてきました。

そこで、新法では「適正原価を下回る運賃で運送を請けてはいけない」というルールが導入されます。
“適正原価”とは、燃料費・人件費・保険・車両維持費などを考慮した「最低限必要なコスト」のこと。

この制度がうまく機能すれば、次のような良い影響が期待できます:

  • ドライバーの待遇改善(給料アップ、長時間労働の是正)
  • 無理な安請けが減り、事故のリスクが減少
  • 運送業界のイメージ改善

荷主にとっても、これからは「安ければいい」という発注のしかたは通用しなくなる時代です。


✅ 3. 「再委託」は原則2次請けまで

荷主から受けた荷物を、自社で運ばずに他社へ委託する「再委託」。
この再委託が何重にも重なると、以下のような問題が起きやすくなります。

  • 運賃が中間マージンでどんどん削られる
  • 実際に運ぶ業者が誰かわからない
  • 責任の所在があいまいになる

そこで新法では、再委託は「原則として2次請けまで」とする努力義務が導入されます。

これにより、以下のような効果が期待されます:

  • ドライバーの取り分が増え、収入が安定
  • 万が一の事故時にも、どこに責任があるのか明確に
  • 中抜き構造の是正と、業界の健全化

✅ 4. 白トラ(無許可運送)の排除

“白トラ”とは、営業許可を持たずに白ナンバー車で貨物を運ぶ違法業者のことです。
これらの業者は、正規の運送業者に比べて運賃が安いことが多く、不正な競争を生んできました。

今回の法改正では、この白トラ利用に対して厳しい措置が取られることになります。

  • 荷主が故意・過失で白トラを利用した場合 → 【罰金・社名公表】の対象
  • 運送会社が白トラを使って再委託した場合 → 【営業停止や改善命令】の可能性

このルールは、真面目にやっている正規業者を守るためのものです。
今後は荷主側にも、「どこに運ばせるか」を見極める責任が求められます。


📦 トラック新法で“運ぶ人”も“頼む人”も変わる

このトラック新法の4つの柱は、すべて「運送業界を持続可能にする」ための仕組みです。

  • 安全運行を守る
  • 適正な価格で働けるようにする
  • 責任の所在を明確にする
  • ルールを守る事業者を守る

これまで「安さ」や「速さ」ばかりが求められてきた運送の仕事。
でもこれからは、「正しく、安全に、長く続けられる」ことが大事になります。


✍️ まとめ

🔹 トラック新法は2025年に成立し、段階的に施行へ
🔹 4つのポイントで、運送業界を根本から見直す動き
🔹 真面目な業者が報われる時代への一歩

 

 

 

 

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