新たな荷主勧告制度の運用を平成29年7月1日から始まり、もう、5年が経ちました.
この、荷主勧告制度とは、運送業者の違反行為が荷主からの指示などが起因する場合、国土交通大臣により、荷主に再発防止の措置を図る仕組みです。
その手段として、違反行為⇒荷主への要請⇒荷主関与の調査⇒荷主勧告となっておりますが、運送事業者の違反行為が明らかに荷主の関与が認められる場合は、荷主勧告となります。
そもそも荷主勧告とは?
では、「荷主勧告」とはどの様なことをするのでしょうか、
もし、荷主勧告が発動された場合にはその荷主名が公表されることになります。これにより、会社の名前が明るみになり、世論対象となり得ます。
しかし、この荷主勧告制度には運送事業者に行政処分があって調査対象となり、逆に、運送業者に行政処分がなければ違反行為が明るみに出ないと言うことです。
事業者、ドライバーの皆様へ~積込先、配送先で困りごと、ありませんか?
しかし、実際に違反に荷主が直接関与しているかの判断が難かしいところがあり、現に荷主勧告が下されたことが1件も無いのが現状です。
で、上のチラシを見た人も多いと思います。
これは、国土交通省が運送事業者や、ドライバーから長時間の荷待ち、契約にない附帯業務の強要などの違反原因行為を行っているおそれのある荷主情報を呼びかけるものです。
これにより、運送事業者の行政処分が無くても、情報⇒働きかけ⇒要請⇒勧告(公表)となります。
荷主勧告制度とは違い、運送業者に行政処分がなくても最終的に荷主勧告、いわゆる荷主名が公表される仕組みです。
しかし、情報を流した運送業者は「仕事を切られるかも知れない」、「どうせ言っても無駄」などの理由から中々進まないのも事実です。
たしかに「荷主勧告」された企業は正直ありませんが今回、この8月に国土交通省から荷主へ「働きかけ」「要請」までされました。
これ以下は国土交通省の意見募集窓口情報等による引用となります。
国土交通大臣による荷主への働きかけ
下のグラフは、募集窓口からの情報をまとめたものであり、長時間の荷待ちがダントツに多く、次いで附帯業務、過積載の順となっています。
この、荷待ちの平均時間は、1運行あたり1時間45分という調査結果がでており、ドライバーの労働環境の改善の妨げとなっています。
国交省からの要請実施事例
この荷主への働きかけは、令和5年度までの時限措置であり、業界の2024年問題が始まる頃には満了となります。
国土交通大臣による荷主への働きかけ
(1)運送事業者の違反原因となるおそれのある行為を荷主がしている疑いが有る場合、
⇓
① 荷主の情報を共有
②荷主に理解を得るための働きかけ
(2) 荷主への疑いが相当に相当な理由がある場合
⇓
要請
(3) 要請してもなお改善改善されない場合
⇓
勧告+公表
⇓
荷主の行為が独占禁止法違反の疑いが有る場合
⇓
公正取引委員会への通知
の順となっており、今回、要請が行われたのは以下の内容となっています。
国交省からの働きかけ実施事例
国土交通省から不良荷主に対していきなり要請とはならず、下の違反行為が改善されないと要請が入ります。
最後に
今回は勧告とまでは至らなかったにせよ、実際に荷主に対して要請が入りました。要請が入った荷主企業は待機時間の減少に向けての何らかの改善を求められたはずです。
我々、運送にたずさわる者としては大きな一歩ではないでしょうか、要請をしたからそれで終わりでは無く、引き続き不良荷主への改善がなされたかの確認もお願いしたいところです。
また、運送事業者、ドライバーも荷主に対して困ったことがあるならば、意見募集の窓口に投函するべきでは無いでしょうか。