こんにちは、
トラックドライバーって何時も忙しいんです。
急いでいるんです。
何時も時間との戦いなんです。
私の後を着いてくれば分かりま~す。
チョット長いんで最後までお付き合いヨロシク!!
目次
トラックドライバーは時間に制約される
そもそもトラックドライバの使命は荷物を安全、確実に目的地の運ぶことです。
その中で、色々な制約や規則の基に走らなければなりません。
まず、
運行上の規則
ドライバーの基本的原則には、
(1)4時間走ったら30分休憩する
(2)運転できる時間は、2日平均で1日あたり9時間以内
(3)拘束時間は原則1日13時間以内。最大16時間以内で、15時間を超えていいのは週に2回まで。1か月の拘束時間は293時間以内
(4)翌日の運行開始まで休息時間を8時間取らねばならない
この様な規則の条件下で走らなければいけないのです。
これらの時間はトラックについている記録計(タコグラフ)で管理されているんです。
休憩時間
業界では430運行と言います。
4時間走ったら30分休憩を摂ることです。(正確には4時間連続で走ったらアウトです)
いえいえ、連続で走った場合、最長4時間までしか走れなく、休憩を30分入れて下さいということです。
テレビ等でトラックが渋滞の最後尾などに追突した事故の報道を見かけた人も少なからずいるのではないでしょうか。
これらの事故は長時間運転により、ドライバーの漫然運転、居眠り運転から引き起こされることが多く、それを防止するための手段です。
2014年に起きた関越道のツアーバスの事故もドライバーの居眠りが原因で起きた事故で一段と規制が厳しくなりました。
運転時間
ドライバーは一日に走れる時間が決まっています。
基本、一日に運転できる時間は9時間とされています。(2日平均)
一般の人からすると長い様に感じられるかもしれませんが、主に高速道路の運行なら600キロくらい走れますが、一般道だとせいぜい400キロくらいしか走れません。
単純に片道200キロくらの運行しかできなく、それ以上だと一泊してこないと帰ってこれません。
それに加え、仕事は運転ばかりでは無く、荷物の積み下ろしなどに掛かる時間もあります。
拘束時間
それらを全部含めた時間を拘束時間と言います。
早く言うと運行開始から運行終了までの時間が基本13時間となる訳です。
そうですね!
一般の会社員からすればかなり長い時間仕事に従事されていることになります。
それだけでは無いんです。
普通の会社員の人は就業時間が過ぎれば後は自由な時間です。しかし、トラックドライバーはこれにも決まり事があるんです。
休息期間
家にいる時も拘束されているのは言い過ぎかもしれませんが、運行が終了して次の運行が開始されるまで最低、8時間が空いていないとダメなんです。
これを休息期間と言います。
これには、会社と自宅の通勤時間や家に帰って食事や入浴する時間も含まれます。
そうです。
ここに興味深いデーターがあります。
長距離ドライバーが平均睡眠時間が6.3時間のところ、地場の運行をしているドライバーの睡眠時間が5.3時間と少ないデーターがあります。
このデーターから地場の運行の人ほど、家に帰ってから睡眠に着くまでの時間が掛かることが分かりますね!
確かにそうですが、
納品先や積み込み先での時間が決まっているのです。
着時間
ドライバーが一番問題となる着時間です。
この部分はチョット声を大きくして伝えたいところでも有ります。
荷物を納品先などに納める場合、着時間が決まっています。
この着時間は運行工程の基準と言っても言い過ぎではありません。
つまり、ドライバーは荷主から決められた時間に合わせて運行を開始し、到着しなければいけません。
この業界は着時間には遅れること延着はタブーなんです。
ペナルティーとしては色々ありますが、最悪の場合、工場のラインが停止してしまうとかなり大きな金額を請求されます。
そういう簡単な訳にはいかないのです。
延着が怖くて早目の出発は分かりますが、先に説明した拘束時間を覚えていますか。
ドライバーは1日の拘束時間は13時間が基準となっており、かつ、1か月の拘束時間のトータルが293時間です。(協定が結ばれていれば特例あり)
早目に到着して待機している時間も拘束時間に含まれ、時間オーバーになってしまいます。
そして問題は、納品先によっては構内へ入門できる時間が決まっており、それまでは早く着いても他で待機しなければいけません。
この場合、「近隣住民への騒音問題の為、工場近くでの待機を禁止します」など言った通達が流れてきます。
トラックドライバーは延着は出来ないし、近くで待機できないとなると路駐やゼブラゾーンなどで着時間に合わせ仮眠や待機を余儀なくされます。
確かに危ないし、交通渋滞の元になるのですが、どうしようも無いのが現状です。
現に大阪でゼブラゾーンに駐車していたトレーラーにバイクが追突し、ライダーが亡くなる事故がありました。
着時間の話は長くなってしまいましたがこの件については荷主や企業の理解と協力が必要です。
トラックドライバーに降りかかる問題はまだあります。
想定外の時間発生となるもの
何事にもアクシデントはつきものですが、すべて予定どうりに進むとは限りません。
まず、
交通渋滞
通常の通勤渋滞ならある程度の予想は出来ますが、事故渋滞は想定外であり、高速道路の事故で通行止めに遭ったら最悪です。
その場合、ドライバーは他へ迂回するか、延着を覚悟してそのまま解除まで待つかの選択をしなければならないのです。
気象状況
台風や地震など自然災害の時には荷主から決められた時間に間に合わない場合が発生します。
そうなんですけど、荷主の理解が無いと中々「遅れても仕方が無いよ」とは言ってくれません。
何としてでも定刻までに到着させる責任感の強いドライバーもいます。
令和2年2月28日、国土交通省はドライバーの生命や身体の安全を考え、異常気象時における運行の中止を運行を管理する者が行い、なお、それでも荷主が強制する場合は荷主勧告の対象となります。
待機時間
トラックドライバーを悩ませる問題に待機時間があります。
業界で「荷待ち」と言います。
ドライバーが長時間労働になっている大きな原因です。
色々ありますが、大きく分けると、荷物を積む時と降ろす際に発生します。
積み込み時
・オーダー(出荷伝票)が出ていない
・荷物が出来ていない、
・積み込みの車が多くて順番待ち
荷降ろし時
・荷受の段取りが出来ていない
・荷降ろしの車が多くて順番待ち
などが挙げられます。
それは加工食品・建築建材・紙パルプとなっており、1時間から3時間は当たり前が現状です。
運送会社は殆どが中小企業で荷主に対して弱い立場なんです。
荷役時間
運賃とはそもそも、積込んだ所から荷卸し先まで輸送したことに対する対価です。
したがって、積込みや荷卸しに掛かる作業料は含まれないことにあります。
しかし現状はそれらの作業も含めた運賃設定が多いのです。
おっしゃる通りですが以前から運賃と作業料を含んだ運賃設定で行ってきたところも多く、今になって作業料を別たてでお願いしても荷主は快く引き受けてはくれません。
作業もパレットで積んでパレットこと降ろすのなら楽ですが、パレットに積んである物を自分のトラックにバラして積込む作業は2時間から3時間は掛かります。
業界で「チャブリ」と言います。
そうした場合、パレットを積み込んだ先まで持って帰ってこなければならないのです。
空車で元の場所まで戻るのなら良いですが、パレット返却だけで何時間もかけて戻ってくるのも割が合いませんからね。
環境の改善策として出した法改正とは
全産業と比べて仕事量の割りには賃金が低く、労働時間も長いトラックドライバーですが、その背景には今まで述べたような待機時間や時間の掛かる荷役作業などがあります。
国交省は深刻なドライバー不足を打開する為にはドライバーの労働環境を整える必要があるとし、その背後には運送事業主だけでは限界があり、荷主の協力が必要という事です。
そして以下のような法改正をしました。
・標準貨物自動車運送約款を改定した (平成29年11月)
運送約款とは、運送会社が「家ではこの様な形態で運送事業を行っています」と不特定多数の荷主に対して掲げているものです。
殆どの運送会社はこの標準貨物自動車運送約款を利用しています。
主に変わったところは運送事業における適正な運賃と料金を頂けるための方法として、運賃とその他の料金を別たてにするという事です。
荷物を運んで荷主から貰う対価は運賃と言います。
つまり運賃とは本来、荷物を積込先から目的地までを運ぶことであり、積込や荷降ろしの荷役手数料は含まれないのが基本なのです。
しかし、殆どの運送事業主はこの運賃には積込手数料は込みの金額になっているのが現状です。
それをこれからは「積込などの手数料は運賃とは別に頂きます」という事です。
運賃と切り離して請求できるものには荷待ちが発生した場合の「待機時間料金」商品陳列やラベル貼りなどの附帯作業における「附帯作業料」横持ちと言って近場配送などの「横持ち料」などが挙げられます。
そうですね!
国としてはそこが狙い目なんですけど・・・
・標準的な運賃の告示(令和2年4月24日)
一般的にトラック事業者は荷主に対して交渉力が弱く、低運賃で運んでいるケースが多くそれがドライバーの低賃金に降りかかっています。
一般大手企業では始まっている「働き化改革」ですが、運送業界も5年の準備期間にあわせ、法令を遵守した運営を持続するには、
そうです!
そのための標準的運賃を掲げた訳です。
しかし現状は
しかしながら現状は標準的な運賃の告示は荷主に対しての強制力は無く、事業主が荷主に対しての運賃交渉の材料にしかすぎません。
また、昨今のコロナ禍の影響もあり、輸送量も激減したため、各社、荷物の取り合いとなり、運賃の値上げ交渉など二の次となっています。
先にあげた荷役作業、附帯作業や待機時間が発生した場合の乗務記録への記載もドライバーへの負担が掛かっているだけで改善の方向へ進んでいません。
ドライバーを取り巻く環境や労働時間の短縮には荷主側の理解と協力がなければ働き化改革はおろか、このままでは運送業界が衰退してしまいます。