トラックドライバーの仕事は、荷物を積み地から届先に安全、正確、迅速に運ぶことです。
せっかく届けた荷物が破損や、傷があったら本もこうもありません。もし破損があった場合、ドライバーにペナルティが課せられる事業所も少なくありません。
また、固縛や積み付けが不十分で荷物の破損どころか荷崩れにより重大な事故につながることもあります。
その為にもこの章では、正しい荷物の積付けや固縛を学ぶことを目的としています。
・全ト協テキスト第5、6、7、8分冊
目次
1 偏荷重の危険性
偏荷重とは、荷物を荷台に偏った積み方を意味します。
荷物が左右、前後に偏った積み方をすると走りにくいばかりか、ブレーキを掛けても制動距離が伸びたり、横転のリスクも高まります。
なので荷物を積むときは、バランスを考えて積む必要があります。
(1)偏荷重の発生要因と危険性
では、偏荷重になる要因はどんなことがあるのでしょうか、
たしかに納品先の依頼で降ろす順番が決まっていて、編荷重になるケースもありますね。
本来、荷物は荷台の真ん中部分に重心が収まるか、荷台全体にかかるのが良いのですが、前後、左右のバランスが悪いと、以下の様な現象が起こりやすくなります。
1、左右に偏った積み方をすると上の画像のように左右のバランスが悪くなり、運転しずらいどころか横転の危険性があります。
2、前に偏った積み方だと、後輪に荷重が掛からず制動力が落ちたり、フロントタイヤに荷重が掛かりすぎ、バーストの可能性も高まります。
3、後部に偏った積み方は、ハンドル操作が軽く感じられますが、すべりやすい路面ではハンドル操作が不安定になりやすく、危険です。
それに、いくら偏荷重にならない積み方をしても個縛をしっかりしていないと偏荷重になります。
そうです。
荷崩れにより荷物の落下、横転事故、追突などに発展する危険性があります。
では、荷崩れの事故映像があるので観てみましょう。
Youtube(衝撃映像ドライブカメラ)
Youtube(日テレニュース)
荷締めが不十分で荷崩れすると車外への落下の危険性があるので注意しなければいけません。
(2)軸重に関する規定及び軸重違反を防止するための積載方法
偏荷重になると軸重にも影響がでてきます。
そもそも軸重とは聞きなれない言葉ですが、車両の各軸にかかる荷重を軸重と言います。
各タイヤにかかる重量は輪荷重といって1本5tまでとされています。また軸重は10tを超えてはならず、いくら最大積載量範囲内でも軸重オーバーは法令違反となります。
軸重オーバーは道路を傷めやすく、特に、橋脚などの疲労が早まります。
高速道路の場合、入口ゲートに軸重計が敷いてあり、軸重オーバーの車両が通過すると記録され、ETC多頻度カードが使え無くなる可能性があります。
なので、いくら積載範囲以内でも偏った積み方(前後)をすると軸重オーバーになる可能性があります。
2 安全輸送のための積付け・固縛の方法
ここまでで偏った積方、偏荷重になると色々な危険性があることが分かりました。でも、いくらバランス良く積み付けても固縛がしっかりされていないと荷崩れにより事故を招いてしまうかも知れません。
ここでは、正しい積付け、固縛、それに関係するルールについて学ぶ必要があります。
(1)積載のルール
まず、積載の制限があるのを知っていますか?
ですが、荷台からはみ出して積む場合、長さはトラックの全長の1.2倍で、かつ、全長の10/1を超えてはいけません。
幅は、同じく全幅の1.2倍、片側づつに全幅の10/1を超えてはならずこれらを超える場合は通行許可が必要となります。
(2)荷崩れしない積付けの方法と固縛
車両や積荷によって正しい積付け方、固縛方法が異なるので積付け方法を理解し、荷崩れにならない方法を学ぶ必要があります。
最近では、ドライバーの労働環境改善の目的で、パレットごと輸送する方法が進められています。
この場合、荷物よりパレット面積が大きい場合が多く、荷物と荷物との間に隙間が出来やすく、この隙間をいかに少なくするかの手立てが必要です。
隙間があるとブレーキ時やカーブなどで荷崩れが発生してしまったり、ずれた荷物どうしが緩衝して荷キズが生じます。
まず、積み込む前にラップ(ストレッチフイルム)を巻いたり、上の部分にバンドを巻いて荷物がズレにくくしなければいけません。
Youtube(ドライバー教育・運送会社のラップの巻き方)
それに加え、荷台に積む時、隙間に緩衝材を挟む必要があります。
隙間を埋める緩衝材の主だったところでは、
・ハッポウ
・エアーマット
・プラ段
などがあります。
また、荷台に対して荷物が偏荷重になる場合、スタンションや、ラッシングレールで偏荷重にならない工夫も必要です。
最近では、パレットごと輸送することが多くなったものの、まだ、バラ積みも少なくありません。
ケース物のバラ積みの場合、荷物取り扱いのマークの支持に合わせたり、なるべく隙間をつくらない積み付けが求められます。
先ほどの動画の様に固縛が適切にされていないと荷崩れどころか車外への落下を招き重大な事故に発展する可能性があります。
たしかに、H鋼には、ワイヤーと荷締機のような強度な固縛が必要です。それに加え、普段から備品に不備が無いかの点検も大事です。
詳しくは、全日本トラック協会の「安全のための積付け・固縛方法」を読むべし!
3 走行中、荷崩れさせない為に注意すること
急ブレーキによる荷崩れ(転倒)
いくら固縛や、積付けが完全でも路面からの振動はかなりのものがあります。
ですが、それに加え、ブレーキや、発進時などによる前後のへの荷重、カーブなどで起こる遠心力からの荷重などさまざまな荷重がかかります。
ドライバーは、余裕をもった運転や、急のつく運転をしないなど、積荷に配慮した運転を心掛けると同時に、運行途中での積荷や、固縛の状態を点検する必要があります。
Youtube(ZEST安全委員会)
4 まとめ
いかがでしたか、偏荷重により追突、横転事故などのリスクも高まります。また、正しい積付けでも不適切な固縛や、運転方法により荷キズや、落下などから二次災害に発展する可能性もあります。
また、運転方法も積荷に配慮した運転方法も必要とされます。