白トラはなぜ無くならないのか

最近、近隣の運送会社が倒産したという話を聞きました。
理由は、法令順守に関する問題で運行停止処分を受けたことがきっかけだったそうです。

ところが、その後も少し気になる光景を目にしました。
白ナンバーの車両が、以前と変わらない様子で荷物を運んでいるのです。

事情を知らなければ、特に不思議に思わないかもしれません。
しかし、運送業に関わっている者からすると、どうしても違和感が残ります。


白トラとは何か

いわゆる「白トラ」とは、営業用の許可を受けていない白ナンバー車両で、
有償かつ継続的に、他人の荷物を運ぶ行為を指します。

重要なのは、
契約書に何と書いてあるかではなく、実際にどう運んでいるか
という点です。

名目がどうであれ、
実態が営業としての運送であれば、問題になる可能性があります。


白トラが分かりにくくなっている理由

現在の白トラ行為は、昔のように分かりやすい形では行われていません。
いくつかの「説明しやすい形」に姿を変えています。


販売を装った運送

ダンプカーの後ろに〇販と書いてある車両をよく見かけますが、

土砂や砕石などを「販売している」という名目です。

・商品を引き渡しているだけ
・送料は取っていない

という建前ですが、実際には、

・運ぶ距離や回数で金額が変わる
・運送そのものが目的になっている

こうした場合、実態としては運送、いわゆる白トラ行為と判断されることがあります。


「自社の荷物だから問題ない」という説明

これも、現場ではよく聞く説明です。

・自社資材
・工事の一部
・下請けではない

しかし、他人の依頼に応じて継続的に運んでいれば、
名目に関わらず判断は変わってきます。


業務委託という言葉が使われる場面

最近、特に多いのが「業務委託」という形です。
この言葉そのものが問題というわけではありません。

業務委託を、できるだけ簡単に言うと、

「どうやるかは任せるので、結果だけお願いします」

という約束です。


本来の業務委託の考え方

たとえば、
「この部屋をきれいにしてほしい」と誰かに頼んだとします。

・何時から始めるか
・どんな順番で掃除をするか
・一人でやるか、誰かを呼ぶか

こうしたことは、頼まれた側が自分で決めます。

頼んだ側が気にするのは、
「約束した日までに、部屋がきれいになっているか」
それだけです。

これが、業務委託の基本的な考え方です。


運送の現場で起きていること

一方、運送の現場ではどうでしょうか。

・出発時間を指定される
・走るルートを指示される
・積み先、降ろし先が決められている
・仕事を断りにくい関係になっている

このような状態では、
「任されている」というより、
指示されて動いているに近くなります。

形式上は業務委託でも、
実態としては業務委託とは言いづらいケースもあります。


倒産や運行停止のあとに起きやすいこと

運送会社が倒産したり、運行停止を受けたあと、

・元社員が個人事業主になる
・車両は個人名義の白ナンバー
・仕事の流れは以前とほぼ同じ

という形に変わることがあります。

立場は変わっても、
実態が変わらなければ問題は残ります。


なぜ白トラは無くならないのか

白トラが無くならない理由は、一つではありません。

・契約書があり外から見えにくい
・荷主側が表に出にくい
・当事者が問題だと思っていない
・価格競争が厳しい
改善基準告示などの制約がない

こうした要因が重なり、
白トラ行為は静かに続いています。


おわりに

白トラ問題は、単なる違法行為の話ではありません。
運賃の適正化が進まない背景には、「運ぶ」という行為そのものが正当に評価されにくい、輸送業界の構造的な課題があります。

荷物が無事に届くのであれば、できるだけ安く――
そう考える依頼側の意識も、現実として無視できません。
その結果、業務委託や販売といった名目が使われ、白トラ行為が見えにくい形で残り続けているのが実情です。

この4月から規制は強化されます。
しかし、制度だけで問題が解消されるとは限りません。
現場の意識、そして業界全体の構造に目を向けなければ、根本的な解決にはつながらない――

 

緑ナンバー車の運賃が高い理由を、荷主側の視点で解説します。 安全教育、車両メンテナンス、運行管理など、見えにくいコストの実態とは。 価格だけでは分からない、正規運送の背景を整理します。
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