最近、運送会社の現場でよく聞くのが、
IT点呼とか、遠隔点呼とかどっちも同じ様で違いが分からんゾ!
社長
という質問。
どちらも“非対面で点呼を行う仕組み”ではあるものの、
制度の成り立ち、使える条件、運管・補助者の扱い、時間制限など、
実務に直結する違いがしっかりあります。
この記事では、制度のややこしい部分はそぎ落とし、
現場で本当に必要なポイントだけをまとめました。
アドバイザー
遠隔点呼とIT点呼、“似てるようで別物”。違いを勘違いすると運行管理の運用でつまづくから、要点だけ押さえていこう。
目次
◆ 1. IT点呼とは(旧来型の非対面点呼)
【ポイント】
- 優良事業所(Gマーク認定)でないと実施できない
- 原則16時間以内でしか実施できない(24時間連続は不可)
- 補助者でも実施可能
- 専用機器・届出が必要
- 営業所同士で行う“非対面点呼”の初期型制度
● IT点呼が作られた背景
「優良事業所なら安全管理体制が整っている」という考えのもと、
Gマーク認定を前提に整えられた旧制度です。
そのため、
“Gマーク同士ならIT点呼できる”
という話が出るわけです。
◆ 2. 遠隔点呼とは(最新型の非対面点呼)
【ポイント】
- 運行管理者本人が実施しなければならない(補助者NG)
- 24時間運用が可能(時間制限なし)
- Gマーク不要
- 24時間常駐ができない営業所でも実施できる
- 機器要件・バックアップ要件は厳しい
- 人材不足や多拠点管理に対応する“現代向き制度”
● 遠隔点呼が求められた背景
「深夜帯に運管を置けない」「小規模営業所の配置が難しい」など、
現場のリアルに対応するために作られた制度です。
IT点呼の“16時間制限”や“優良事業所限定”という壁を取り払った形。
◆ 3. 制度としての根本的な違い
| 項目 | IT点呼 | 遠隔点呼 |
|---|---|---|
| 必須条件 | Gマーク認定 | なし(要件を満たせばOK) |
| 点呼担当 | 運管 or 補助者 | 運行管理者本人のみ |
| 運用時間 | 原則16時間以内 | 24時間運用可 |
| 制度の位置づけ | 旧制度 | 現代向けの新制度 |
| 無人営業所での利用 | 不可 | 可能 |
| 導入の柔軟性 | 中 | 高い(要件は厳格) |
◆ 4. よくある誤解
❌「遠隔点呼のほうが新しいから上位互換」
→ 実際には“役割が違う”だけ。
補助者が使えない点は遠隔点呼の大きな制約。
❌「Gマークがあるなら遠隔点呼も簡単」
→ 遠隔点呼の要件はGマークより厳しい。
通信品質、録画保存、二重回線、代替点呼…など準備が多い。
❌「夜間はIT点呼でいいでしょ?」
→ 不可。
IT点呼は16時間制限があるため、夜通しは使えない。
◆ 5. どちらを導入すべき?(実務と制度の両面から判断する)
非対面点呼を導入する際に大事なのは、
“どの時間帯に誰が点呼を行うのか”
という配置の考え方です。
✔ IT点呼が向いている会社
- Gマーク認定がある
- 日中中心の運行(深夜点呼が少ない)
- 運管+補助者の人員が確保されている
- 遠隔点呼ほど高精度な設備は必要ない
- 現状の業務時間(16h以内)に点呼が収まる
→ 制度が安定しており、導入ハードルも低め。
ただし“24時間体制の会社”には向かない。
✔ 遠隔点呼が向いている会社
- 営業所に運管や補助者を常駐させるのが難しい
- 夜間・深夜の点呼が多い(24時間体制)
- 小規模拠点が多く、人員配置がシビア
- Gマークがない営業所も混在している
- 補助者に点呼させられない運用でも問題ない
→ 24時間常駐ができない営業所なら“遠隔点呼一択”。
ただし、要件・設備投資は重め。
◆ 6. 結論:選ぶ基準は「人員配置」と「夜間点呼の有無」
- 日中中心で、人も確保できている → IT点呼が現実的
- 夜間運行が多い/無人営業所あり → 遠隔点呼が必須級
つまり、
「制度の違い」ではなく「会社の働き方」から逆算するのが正解」
ということです。
◆ 7. まとめ
まとめ
- IT点呼=優良事業所向けの旧制度、16時間制限あり、補助者可
- 遠隔点呼=現代向けの新制度、24時間可・補助者不可
- 夜間点呼の有無、運管・補助者の配置、Gマークの有無で選ぶ
この度、「遠隔点呼」が始まります。では今までの「IT点呼」はどうなってしまうのか、また、この遠隔点呼とはどう言ったものでこの違いは何なのか、一番大きな違いはGマーク認定以外の営業所でもIT点呼?が出来ることです。それには、今までのIT点呼より機器、環境、管理、情報の共有などの基準がかなり厳しくなっている。
